コラム
Vol.84 人材育成の要諦
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2017/12/21
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- 人材育成の要諦
- 人事・教育担当者に読んで欲しい書籍
人材育成の要諦
先日、「人材育成」をテーマに研修を実施しました。その朝に研修内容を構想していると、ふとひらめいた言葉が、人材育成の要諦とは「人材育成を阻害しているのは自分だと知ること」。これが、今のところ自分が行きついた究極の結論です。
個人的には、近代マネジメント手法の限界を感じています。戦略論も、組織論も、マネジャー手法も、人材育成手法も。いくらやっても、問題がなくならないので。まずは、近代マネジメントの問題から整理します。
近代合理主義の前提は、下記のように挙げられます。
(1)主体と客体の分離して分析する。
(2)全体を部分に分けて分析する。
(3)部分の知識を統合することで全体を理解する。
その中で、マネジメントとは客体を計画的にコントロールすることになります。その根底にあるのは、「主体が正」であり、「客体が問題」という考え方です。
つまり、近代マネジメントの前提は、
(1)経営者(管理職)は正しい。
(2)問題の原因は、従業員(部下)である。
(3)従業員(部下)をコントロールして改善する。
という発想が根底にあるということです。
その視点の何が問題かというと、上司からみると「部下が悪い」という発想を引き起こし、部下からすると「上司が悪い」という発想を引き起こし、そこには「分離」と「主体性の欠如」が起きるだけです。結果、問題が放置され、先送りされます。一方で、時代は変わり、徐々に「客体のみ問題」という視点は薄れつつあります。
例えば、「コーチングは、部下の意見を引き出し、行動に結び付けるスキル部下の育成は、弱みの克服よりも、強みを伸ばすことが大切」というのは部下視点に徐々に移行していることを意味しています。ゆっくりと。
それをもっと成熟させると、「主体」と「客体」を分離して考えること自体に限界を感じます。もう少し進むと、「客体が正」であり、「主体が問題」ではないかという視点に行きつきます。
これが内省です。
大人の発達心理学の段階5(自己認識段階)になると、他者の捉え方が「自己の受容に貢献する者」というレベルになるようです。少しかみ砕くと、
事実(相手を含む)は事実であり、起こるべくして起こっている。
起きたことは内省材料である。
事実に基づいて、自分のあり方・思考の枠(思い込み)を内省することにより、自分の行動を変える。
この発想が、新しい時代のマネジメント手法だと確信しています。そして、これができることが、経営者・マネジャーに求められる究極のレベルだと考えています。僕も、このレベルを目指して、日々研鑽しています。
つまり、人材育成においても、「人材育成を阻害しているのは自分だと知ること」と理解し、自分のコミュニケーション方法や内面に起きていることを見直し、それに基づいて部下と接し直すというPDSサイクルを回すことができれば良いでしょう。人材育成・コミュニケーションもそうですし、営業場面のプレゼンテーションも同じです。戦略が実行されない原因も、主体本人の中にあります。
そう書きながら、自己内省をしている島森がありますが(笑)
人事・教育担当者に読んで欲しい書籍
『自分の小さな「箱」から脱出する方法 』を書いたアービンジャー・インスティチュートが、ビジネス編として書籍を出しました。まず、『自分の小さな「箱」から脱出する方法 』を読んでいない方は、そちらからお読みください。今回メルマガに書いたことを、内向き志向のマインドセットという表現で伝えてくれます。
書籍名:『管理しない会社がうまくいくワケ』
著者名: アービンジャー・インスティチュート(著)、中西真雄美(訳)
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