コラム

Vol.26 中国での組織マネジメント

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2010/05/15

Index

  1. 中国での組織マネジメント

中国での組織マネジメント

5月の中旬に上海近隣の企業視察に行ってきました。聞くのと、見ること・感じることとは全く違うと感じました。5年前に上海に行ったときと比べて、街はきれいになっており、国民のマナーは格段に良くなっており、更に活気に満ちていました。国家が先頭になって、新幹線も地下鉄も作りまくっています。高層ビルも日本の10倍あるそうです。逆にコンビニのレジ袋も有料になっており、環境にも関心が高まっています。

色々伝えたいことはありますが、組織・人事のコンサルタントの立場から、中国での組織マネジメントというお題で、2回に分けて、情報を伝えたいと思います。。1回目は中国の文化・経済状況などを中心に、2回目は実際に中国で組織マネジメントに成功している事例を紹介したいと思います。

特に2回目は、中国ではチームワーク作りが難しい。すぐ社員が転職すると思われがちですが、それを超えた家族主義的な信頼をベースに運営している会社の事例など紹介していきます。

それでは、1回目の文化・経済状況の話を進めていきます。

文化で感じたことは、儒教の考えに基づいて家族を大事にするということです。特に旧正月は家族と一緒に過ごす風習で、基本的に全員が故郷に帰ります。これが大変なのですが、国民全員が移動するのでチケットが手に入りません。前回行った時は上海駅に1週間前から布団を持って泊りこんでいる人がいるぐらいでした。

今問題になっているのは、帰省するチケットがなかなか手に入らないことです。しょうがなく旧正月の3~4日前に帰省するしかない状況です。当たり前ですが、工場では人手が足りなくなります。ここで気持ちよく数日前に帰ってもらうか、人手が足りないことを理由に残れというのかが経営側と従業員側の信頼関係に関係すると感じました。大変ですが、計画的に事前に生産を進めておき、旧正月は地元の少ない人数で運営できるようにすることがポイントかと感じました。
地元の人を優先して採用することも大事な要素です。

続いて、上司と部下との関係で感じたのは、『老板(らおぱん)』という上司の存在です。部下がこの人を上司と認めた時は、李老板というような呼び方をして、食事に誘ったりするそうです。老板は部下に何をするかというと、仕事ももちろんですが、部下の家庭の世話までするそうです。見合いの世話までしている老板もいました。

社員は、基本的に給与と上司(老板)との関係で転職を決めるそうです。つまり、総経理とマネジメントクラスに老板のような信頼関係、マネジメントクラスと部下に同様な信頼関係があると人材は定着するということです。

最後に経済事情について話をします。わたくしなりの推測の部分もあるので、個人的見解だと考えて頂ければ結構です。

びっくりしたのですが、現在大学生の就職率は50%程度だということです。一方でビル・地下鉄は作っているので体力を使う労働者はどんどん就職できるそうです。聞いた話によると、清掃をする人を国が20万人雇ったそうです。

なぜ大学の進学率が50%かというと、(ここからが私の推測ですが)学生は一人っ子で6名(両親・祖父祖母)から支援を受けて大学に行っています。逆に言うと6名分を将来養わなければなりません。そう考えると少しでも給与が高い仕事に着く必要があります。給与が見合わなければ、まずは安い所で就職してスキルを上げて、いい転職先を見つける。そして更に転職を続ける。つまり、転職の理由は家族を大切にしたいからなのです。

だから、その会社で年収がUPする仕組みを作らないと転職してしまうのです。次回紹介する会社も部長と新入社員では年収が20倍違うそうです。その年収以外にも収入がある仕組みを作ってあげています。

そんな文化・経済状況を上手に理解してあげることが、中国の人材マネジメント上必要と感じました。

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