コラム
Vol.162 言葉で伝える限り、「学び」には限界がある
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2024/04/25
言葉で伝える限り、「学び」には限界がある
最近、アメリカのレクティカ社(Lectica, Inc.)が提供する「学び」と「能力開発」についての探求を深めています。この知見をもとに、研修やグループリフレクション(以下グルリ)のレベルアップを図り、人材育成の効果を高めたいと考えています。
知識から実践へ、そしてスキルとしての定着へという能力開発の流れにおいて、最近の出来事から得た気づきや今後の方策についてお伝えします。
先日、グルリのファシリテーター養成の場で、チェックインについて説明しました。チェックインとは、「感じていることや気になっていること、心にあることをありのままに自由に話すこと」と解説しています。また、チェックインは、格好をつけずにありのままの自分を出す練習、立場や相手を考慮せずに自由に話す練習、そして自由な発言を相手に受け入れてもらう体験だと伝えています。
また、アイスブレイクとチェックインの違いについても説明しています。
実際にチェックインをした際、まずは参加者がチェックインを行い、その後2名のファシリテーターがチェックインをしました。
ファシリテーターのチェックインでは、
「今朝から体が痛くて、特に首が痛いです。」
「今は特に何も感じていない、フラットな状態です。」
と話しました。
このファシリテーターのチェックインを聴いた参加者から、
「本当に自由に話していいんですね。」
「チェックインで格好をつけていた自分がいました。」
「独り言のように話せばいいんですね。」
という気づきの声が上がりました。
この時、チェックインが何かを言葉で説明しても、その概念は完全には伝わらないと気づきました。言葉で伝えられるのは約10%で、残りの90%はファシリテーターがやってみせたり、参加者に体験してもらうことで補完できると考えました。
研修では、面接方法やPDCAサイクルの書き方などを伝えていますが、伝える時間を50%に抑え、残りの時間を実際にやって見せたり、演習を行ったり、その後気づきや質問を共有する時間に割く方が効果的だと感じました。獲得した知識やスキルを自分の言葉にする工程は、「学び」にとって非常に重要です。
研修では、まず概念の説明から始め、次に演習を通じてスキルを身につけさせ、最終的には現場での実践を前提としています。しかし、概念を伝えることの難しさや、演習でスキルを身につけられるのは一部に限られることを踏まえ、演習後の対話の時間や、職場での実践経験を共有する時間に充分な時間を割くことが重要だと考えています。
学びは本来、喜びを伴うものです。そのため、このような形式の研修を実施することで、受講者がより楽しむことができるという仮説を持っています。
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