コラム

Vol.151 適応課題を解決する方法

2023/05/16

Index

  1. 適応課題を解決する方法
  2. 流行には惑わされない!?ジョブ型人事制度導入のリスクを考える

適応課題を解決する方法

ハーバード・ケネディ・スクールで25年間リーダーシップ論の教鞭をとったロナルド・ハイフェッツ氏が、企業で生じる問題を「技術的問題」と「適応課題」に分けました。「技術的問題」とは、既存の方法で解決できる問題のことで、「適応課題」とは、自分自身のものの見方や、周囲との関係性が変わらないと解決できない問題を指します。適応課題を技術的問題で解決しようとすると、失敗を生むと伝えています。

この「適応課題」の解決方法についてお伝えします。

ロナルド・ハイフェッツ氏は「適応課題」を以下のように表現しています。

適応課題は、人々の優先事項、信念、習慣、忠誠心を変えなければ対処できない。発見を導くような高度な専門性だけでなく、ある凝り固まった手法を排除し、失うことを許容し、改めて成功するための力を生み出さなければ前に進められないのだ。

出典: ロナルド・ハイフェッツ著『最難関のリーダーシップ ― 変革をやり遂げる意志とスキル』

「適応課題」の例には、次のようなものがあります。

  • 若手の離職率が高くて困っている。昭和な組織風土の問題だと分かっているが変えられない。
  • 方針の立て方や実行方法に問題があるが、誰も変えようと言い出さないため、毎年多くの時間が無駄になっている。
  • 会議やメールの時間が無駄だと分かっているが、自分からはやめられない。

ついついコミュニケーションツールの導入やマネジメント研修などをして、解決を試みますが、「技術的問題」とは異なり、「適応課題」はすっきり解決できないものです。

それは、組織の価値観や個人の固定観念を変えなければならないからです。企業に属している立場で、ここに手を加えようとすると、身動きが取れない感覚に陥ります。研修などでは、「見えないお化け」の存在が、問題解決にブレーキをかけていると表現しています。

では、「見えないお化け」とは何でしょうか?

その正体は、実際にその問題解決を進めると、よくないことが身に降りかかると
いう「妄想」です。問題解決を行動に移すと、無自覚に「失敗して解雇されるかもしれない」「仲間外れになって孤立するかもしれない」などの妄想が頭をよぎります。自我は生存本能の一部であり、自分の身にかかる危険を、反応的に避けようとします。この自己防衛反応は大切なものですが、問題解決への行動にブレーキをかけるのです。

問題解決だけではなく、日常の業務でも、この自我=自己防衛反応が生産性を下げることがあります。
・意思決定を先延ばしする役員
・部下に言い訳資料を大量に作らせる部長
・1on1で部下の話にかぶせるマネジャー
・必要以上に丁寧に資料を作成するメンバー
・必要以上に長時間説明するスタッフ
などなど、皆さん自分の身を守るための仕事をしているのです。さらに厄介なことに、自分の中では正当性をもって行動しているので、修正が進みません。労働時間の中には、この自己保身の時間も多く含まれるので、企業の生産性が上がらないのです。

企業の中に存在する「適応課題」の解決方法は、自我を見える化して、扱うスキルを身につけることです。自我を取り扱えるようになれば、企業の生産性は200%ぐらいに向上すると考えています。

妄想や、ブレーキがかかる反応行動、反応行動を引き起こす負の感情などを、
「自我ファミリー」と称しています。自我を見える化する研修を増やしています。興味のある方は、こちらからお気軽にご相談ください。

流行には惑わされない!?ジョブ型人事制度導入のリスクを考える

「ジョブ型人事制度を導入したい」というニーズが多いのですが、ちょっと立ち止まって、その設計の難しさ・運用の難しさに焦点をあてたセミナーを行います。

当日は、
・職能資格制度・職務等級制度(=ジョブ型)・役割主義人事制度の理論的な違い
・海外のジョブ型の背景と切り捨てている思想
・それぞれの設計の難しさ
・それぞれの運用の難しさ
・ジョブ型と相性がよい業種・相性が悪い業種
・ジョブ型と相性がよい組織風土・相性が悪い組織風土
について、人事制度コンサルタントの島森・吉岡から解説します。後半は、参加者の皆さんからの質問に回答する形で進めます。
ぜひこの機会に弊社コンサルタントに疑問をぶつけてみてください。

日時:2023/05/25(木) 10:00~11:30
申込:https://www.growthen.co.jp/seminar/20230525/

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