コラム
人材育成事例
NAICANノート(経験学習モデル)を使った新入社員育成
事例・実績
2020/01/24
背景と目的
ある会社でNAICANノート(経験学習モデル)のトライアルを4ヵ月間やりました。新入社員の自律的な成長とあわせて、OJTトレーナーの成長支援を図りました。
- 経験学習モデルの定着による新入社員の自律的な成長支援
- 新入社員とOJTトレーナーの良質なコミュニケーションの実現
- OJTトレーナー側の成長
実施した内容
- OJTトレーナーに向けて、OJT研修+NAICANノート(経験学習モデルの定着)の活用方法の研修を実施
- 新入社員は、4ヶ月間、毎日NAICANノートの記入を実施
- OJTトレーナー向けに、新入社員のNAICANノートの記入状況やOJTトレーナーのコメントの記入状況を確認して、コメントをフィードバック
- 成長度合い・内省度合い・チームとの関り度合いを測定するアンケートを実施(月1回、合計4回)
経験学習モデルによる成果と課題
新入社員は、内省の大切さの理解が浅いため、経験学習モデルノートの記入を「仕事としてやる」という位置づけにすることが良いと感じました。できれば、 日報のように書くことが義務であり 、強制的に内省を促す仕組みづくりを設計することが必要そうです。 3ヵ月ほど継続して、振り返りの大切さを理解できるようになると、より効果的に経験学習モデルのサイクルが回るようになるでしょう。
新入社員の声
・ 自分の仕事を振り返る機会になる。また、業務中に振り返りを視野に入れて、仕事を進められるのが良かった。
・ 自分の仕事を振り返り、仕事がうまく行った理由/失敗した理由が振り返れたのが良かった。
・ 最初は書くのが大変だが、慣れると10分ぐらいで書けるようになる。
・ 過去の自分が書いたNAICANノートから、自分の成長度合いや自分がルール化したことを活かせることが良い。
OJTトレーナーの声
・ 新入社員の気持ちの部分(悩んでいることや仕事が滞っていること)が把握できることが良い。
・ 分からないことを聞く癖が定着するので、質問しやすい雰囲気が形成できた。
・ 新入社員と毎日強制的にコミュニケーションができる仕組みが良い。特に、業務上関りが少ない場合は、NAICANノートがなかったらほとんどコミュニケーションできなかったと思う。
・ 文章を簡潔に、相手に分かりやすく書く力が向上した。
忙しさを理由にOJTを後回しにしない仕組みづくり
NAICANノートに記載してもらう時間が10分、ミーティングの時間が10分だとすると、OJTトレーナー側が負担になる時間が1日10分+αです。この10分+αの時間について、「忙しい」からと後回しにする人と、それが大切な時間だとさける人の差が出ました。面白かったことに、NAICANノートのフィードバックに時間を割いた人は、「それほど負担にはなりませんでした」と口をそろえたような回答でした。 つまり、OJTトレーナーが10分+αの時間の大切さを理解できるか否かが、大きく左右することが把握できました。
内省の大切さや、内省することの良さは皆さん理解していました。ただ、継続には時間がかかるため、できる限り負担を減らせるような仕組みづくりが大切です。新入社員側の負荷をいかに減らせるのかもカギになりそうです。
新入社員をみんなでサポートする組織風土
OJTは、OJTトレーナーと新入社員の関係にとどまらず、組織風土(特に聞きやすい雰囲気)が大きく関連するように感じられました。 マネジャーが人材育成に理解があると、OJTトレーナーが孤立せずOJTに時間をさけたり、他のメンバーも巻き込んで新入社員をサポートしたりしていました。 逆の表現をすると、OJTトレーナーと新入社員の関係を良くしていくことによって、組織風土も徐々に改善に向かうと確信しています。
OJTトレーナーの支援・OJTを歓迎する組織風土作りには、下記の施策の必要性を感じました。
- マネジャークラスの人材育成に対する研修+人材育成を大切にする組織風土作り
- OJTトレーナーへOJTに対する意識付け+スキルの研修を実施して、なぜこの自分がOJTに時間を割く必要があるのかを納得してもらう
- 仕事として認める・目標として認めるなど、OJTトレーナーがOJTに時間を割ける環境作り
3年間ほど施策の定着を進めると、組織風土が変わってくるので、NAICANノート(経験学習モデル)の導入を機に人を育む組織風土に変えることが出来たら良いですね。
NAICANノート(経験学習モデル)を使った新入社員・OJTトレーナーの育成支援研修に興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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