コラム
VUCAの時代を生き抜くために料理のすすめ
コラム記事
2024/12/16
いきなり、カネヴィンフレームワークの紹介から入ります。
カネヴィンフレームワークとは、1999年にIBM Global Servicesのデイブ・スノーデンが提唱したもので、状況や問題が複雑化し、不確実性が増す時代に、どのようなマネジメントをしていくべきかを考察できるフレームワークです。
このフレームワークでは、時代の複雑性を以下の①から④に分類しています。①→④へと複雑化しています。
① Simple(単純)
この領域では因果関係が明確で、ルールの適用やマニュアルに従うことで解決可能です。例えば、機械の操作など、誰にでも理解できる解決方法が該当します。
② Complicated(複雑)
因果関係が絡み合っており、専門家が特定の知識を用いて解決しなければならない領域です。煩雑ですが、追及すれば問題が理解でき、仮説と検証によって対処可能な問題が含まれます。
③ Complex(多元的)
因果関係が多元的で予測困難な領域です。この領域では、状況が刻一刻と変わり、自らの行動が状況に影響を与えることがあります。仮説を立て、行動を起こし、その影響を観察し、新たな仮説を立てるサイクルが必要です。より多くの要素を捉えるシステム思考が求められます。
④ Chaotic(混沌)
この領域では、問題の因果関係を解明することが不可能です。混沌とした状態を収束させるためには迅速な判断と行動が求められます。混乱した状況でも判断を下せるよう、固有の価値観や世界観を持つ必要があります。
私の見解では、現在は③の時代にありますが、パンデミックや震災などの発生確率が上昇しており、④の時代に突入しつつあると感じています。
また、それぞれの領域には求められる思考方法があります。①では因果関係を整理するロジカルシンキング、②では仮説を考える仮説思考、③では複数の要素をつなげられるシステム思考、④では価値観や世界観の確立が必要です。
これを強引に調理に例えると、次のようになります。
① Simple(単純):レシピ通りに料理を作る
作りたいものが決まっており、それに合わせて買い物をし、レシピ通りに作る流れです。大きな失敗をしない限り、一定の品質の料理が出来上がります。
② Complicated(複雑):レシピに工夫を加える
レシピに自分なりのアレンジを加える段階です。仮説と検証のサイクルがあるため、試してみて不味くなることもあり得ます。例えば、20年以上前にフルーチェ(フルーチェと牛乳を混ぜるだけ)にバニラエッセンスを加えたところ、かなり不味くなったという経験があります。このような失敗は経験として蓄積されます。リスクが小さいもの(例:ワカメを追加)から、リスクが高いもの(例:カレールーを追加)までありますが、仮説検証を繰り返すことで、勘所が磨かれていきます。
③ Complex(多元的):冷蔵庫の中身で料理を作る
冷蔵庫の余り物を見て、調理可能な献立を考える段階です。シミュレーションを行い、必要なものがあれば買い足し、自分なりの見立てで献立を組み立てます。このプロセスは、OODAループ(観察→状況把握→意思決定→実行)に似ています。冷蔵庫を観察し、在庫を把握し、献立を決定し、実際に調理するという流れです。
④ Chaotic(混沌):独自のレシピを確立する
この領域では、自分なりの調理哲学やスタイルが確立されるのかもしれません。ただ、私はまだそこに到達していないので、具体的な例を挙げることは難しいです。
賞味期限が近い鯖缶と、冷蔵庫のしいたけ、白菜、ニンジンでスープを作りながら、このようなことを考え、文章にまとめてみました。
つまり、時代が複雑化しているため、それに応じた高度な思考が求められますが、こうした思考は調理という日常の場面でも磨けるのではないでしょうか。特に、女性が平行して仕事をこなしたり、短時間で効率的に業務を遂行したり、非線形思考を得意とする背景には、調理などの家事の経験が関係しているのかもしれません。
以上、料理のおすすめでした!
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