コラム
MG-PDCAサイクルの実践で変わる現場マネジメント
コラム記事
2024/11/08
私たちがPDCAサイクルの探求を始めたのは、人事評価シートの運用に関する現場の悩みからでした。評価制度の運用について、「評価シートの運用が形骸化している」「評価制度が現場のマネジメントと連動していない」「目標設定がうまくいかない」といったご相談をいただいたことがきっかけです。
評価制度の話は切り離し、マネジメントの課題に限定すると、「Plan策定にとどまっている」「Planは策定するが振り返りの場がない」「(営業職などで)結果管理になっている」「(開発職やスタッフ職などで)目標設定が難しい」といった課題があります。本コラムでは、こうした課題の解決に向け、現場で効果を実感できるPDCAサイクルについて解説します。
MG-PDCAサイクルは会社の未来を創造するためのツール
MG-PDCAサイクルは、私たちが10年以上前から提唱している概念です。まず、PDCAサイクルを回す前段階として、上位方針で掲げられている「Mission」を理解し、会社が進むべき方向性を把握します。そして、自部門や自部署のありたい姿「Goal」を掲げ、「Goal」と現状とのギャップを埋めるための作戦を立てることが「Plan」であると説明しています。つまり、MG-PDCAサイクルは会社の未来を創造するためのツールです。
Plan:実行計画(ありたい姿と現状のギャップを埋めるための作戦)
「Plan」とは、自部門や自部署のありたい姿と現状のギャップを埋めるための作戦、つまり実行計画を指します。まず押さえておきたいのは、PDCAサイクルは仮説と検証のサイクルであり、実行計画には必ず仮説を組み込む必要があるという点です。仮説は成功する場合もあれば、失敗する場合もありますが、成功の確率が高い実行計画を生み出すことが、Plan策定の醍醐味ともいえるでしょう。成功の可能性を見極めることが仮説であり、仮説の精度が高まれば、短期間で成果を創出できるようになります。
Do:実行計画に基づいて行動する
「Do」は、実行計画に基づいて行動することを指します。ただし、人間はロボットとは異なり、実行計画に掲げられた内容(指示されたこと)をそのまま素直に実行できるほど器用ではありません。実行に移す際には、自信が揺らいだり、失敗を避けたくなったり、恐れからブレーキがかかることもあります。そのため、マネジャーのサポートが必要です。失敗したくない、評価を下げたくないといった不安を和らげることも、マネジャーの大切な役割のひとつです。
Check:実行計画の検証をする
「Check」は、実行計画の検証を行うことを指します。具体的には、計画通りに行動が取られたか、また成果が出たかどうかを確認します。行動していない場合は、何らかのブレーキがかかっている可能性があるため、1on1の場でサポートを行いましょう。また、実行しても期待した成果が得られなかった場合は、ミーティングで失敗の要因を特定し、部下と共に新たな改善策を考えます。
この検証・振り返りは、組織で経験学習モデルを回すことにつながり、内省力の向上や情報共有の促進を通じて、人材育成にも寄与します。
Action:新たな打ち手を創造する
「Action」は、新たな打ち手を創造することを指します。実行計画(仮説)がうまくいかなかった場合には、新しい仮説を立てるためのアイデア出しが必要です。進捗管理の会議は、計画未達成の原因を追及するだけでなく、新たな実行計画を生み出す創造の場であるべきだと考えています。
PDCAサイクルの実践が組織の一体感と人材育成を促進する
組織でPDCAサイクルを回すことで、ありたい姿を共有する、実行計画のアイデアを出し合う、成功や失敗の事例を共有する、成功・失敗の要因を深掘りするといったことができます。これらのプロセスを通じた情報共有や意見交換そのものが、一体感のあるチームを築き上げるとともに、人材育成の促進にもつながります。
MG-PDCAサイクルのチェックリスト(無料テンプレート)
これらの概念をチェックリストにまとめたものが、「MG-PDCAサイクルのチェックリスト」です。現場でのマネジメントサイクルを定着させるために、ぜひご活用ください。
このシートについて、書籍『新解釈|マネジメントの本~自分が変わると周囲が変わる「内省型リーダーシップ」~』に詳しく掲載していますので、ぜひご参照ください。
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