コラム

セミナーレポート
1on1エバンジェリスト堀井耕策さんとの対談で探る「評価と1on1」~評価は必要か?評価と1on1のつながりは?~

2024/08/06

1on1エバンジェリスト堀井耕策さんをお招きして、弊社代表島森と対談セミナーを行いました。堀井さんは、ヤフー株式会社で1on1の導入を主導され、現在は1on1エバンジェリストとして企業向けに1on1導入コンサルティングや研修を手がけていらっしゃいます。人材育成を切り口に、前半は評価・評価制度についての対談、後半は1on1について堀井さんにお話を伺いました。本コラムでは前半の評価について対談の様子をまとめました。後半はこちらからご覧ください。

Index

  1. そもそも評価って何なんだろう?
  2. 「評価」と「1on1」のつながり

スピーカー

堀井 耕策(ホリイ コウサク)

1on1 エバンジェリスト、Attuned エバンジェリスト
ヤフー株式会社にて営業企画・事業企画、人事(人材育成、組織活性、社内研修講師等)、グループ会社人事責任者(出向)を経験。2021年7月、独立。2020年からは成城大学での講師も務めている。

島森 俊央(シマモリ トシヒサ)

株式会社グローセンパートナー 代表取締役
2008年 株式会社グローセンパートナーを設立 。一部上場企業から中堅・中小企業、ベンチャー企業に至るまで、人事制度の導入や役員/管理職クラスの教育研修を通して、クライアントの業績向上と社員活性化の実績を多く残している。

そもそも評価って何なんだろう?

島森俊央(以下、島森):堀井さん、ご自身が評価を受けた経験でもいいのですが、評価ってどういう風に捉えていますか?

堀井耕策氏(以下、堀井):評価とは何か?面白い問いですね。その会社の目指す方向性やミッション・ビジョンとか設定されていると思うんですけど評価は、自分のやってきた行動がそれに対して沿ってるのか、沿っていないのかっていうのを確認する場かな?と思っています。

島森:評価の定義付けを少しずつしていけたらなと思います。僕の中では、今堀井さんがおっしゃったことは、適切に進んでるかどうかのフィードバックだと思っていて。ありたい姿という意味で、ゴール設定することと、そこに向かって進んでいるのかというフィードバックは日常業務として当たり前で、PDCAサイクルを回しているはずなので、僕の中ではこれ自体は評価じゃないと感じるんですよね。だから、評価って何?っていうのは1人1人違うんだろうなって思っています。報酬を決めるために評価が必要なのは絶対その通りなんです。

堀井:そうですよね。報酬決めるとか給与を決める。例えば賞与を決めるとか昇進昇格とかそうなんですよね。

目標設定に基づく評価は適切か。

島森:目標管理をして賞与を決めるみたいなものは、僕の中ではもう破綻してると思っていて。そもそも明確な戦略を抱えてる経営者が少なかったり、それに対してよく理解していないのに、会議ばっかりやる部長がいたりとかです。それで、目標設定して適切な評価ができるのかというと(どうなのかなと)。僕は出光の時に目標管理はありましたが、自分がおおよそできることしか書かないのに、いつもいい評価になるので、これはどうかなと疑問に思いながらやっていました。

堀井:確かにおっしゃるとおりですよね。ヤフーでもよくあったのが、目標設定を期初にやり、半年何も見ず、期末ギリギリになって、「あ、そういえば、こんな目標設定してたね」と。このような話もよくあるので、何のためにやるんだろうっていうのもありました。ヤフーはS・A・B・C評価だったんですが、SやAはほぼつかないです。ほとんどがBやB+やB−、そういう状況なので、それだけやるんだったらいらなくない?ていうのは正直思っていました。

みんなが気持ちよく仕事できるといい。評価で人を分離する必要があるのか?

島森:多くのマネージャーが評価って嫌なことだと感じていると思っています。せっかくチーム一丸となってやってきたのに、なんで最後Cをつけないといけないの?というような、歯がゆさや難しさがあって、結構頭を抱えている人がいると思っています。

それは本心だと思っていて、人間の本心を仕組みでねじ曲げるっていうことも僕はあんまり気に入らないなと思っているんですよね。みんな気持ちよく仕事をすればいいなという風に思っています。それをわざわざS・A・B・C・Dって、人を分離する必要があるのかな?と思っているところです。

堀井:本当そうですよね。期初に例えば、評価基準を作ります。これを達成したらSですよAですよという形でつくって、結局、達成してもSやAがつかないことの方が多いんですよね。最終評価会議で「いやいや、それはBでしょ?」「えぇ…?」みたいな。結局マネージャーがフィードバックするのに大変になって、「なんでBなんですか?Sって言いましたよね?」と。そんな話もよく起きているので、難しいところがありますよね。

島森:人事制度の設計の中で、現場は絶対評価だけど、どこかで相対化しなきゃいけなかったり、予算があったりとかで、評価が曲がったり、変わったりするのは仕方がないですが、それに対して納得性があるかっていうと、なかなか難しいなぁという風に思っています。

目標設定はしたほうがよい。目標設定をして月1回の1on1で進捗確認をする

参加者:目標設定しない場合に評価を実施する際の評価軸とはどのようなものになるのでしょうか?

島森:目標設定はした方がよいと思っています。

例えば、1年に1回・半年に1回目標設定して、それが達成したかどうかきちんと進捗確認してくださいと言ってもしてない会社がほとんどだと思っています。それだったら、1on1の時に、6ヶ月の目標はこうだけども、1ヶ月はこういうことやろうねと、できた・できなかったってことについて、丁寧に1on1だけしておけばいいです。これだけ時代の変化が激しいので、いろんな要素が月によって変わると思うので、それに対して臨機応変にやればいいと思ってます。

特にバックオフィス部門の場合は、1on1の活用がいいと思っています。半期の目標はなかなか難しいと思うので、「できたこと・できなかったこと」、「ここは良かったね。じゃあ、どう伸ばしていったらいい?」というような話でいいと思っています。

将来を見据えて仕事をしていく仕事と、今遂行していく仕事と、職種によって時間の概念が違うので、そういう点も含めて月1回の1on1が1番評価に最適なんじゃないかと思っています。

「評価」と「1on1」のつながり

評価・1on1・面談をバラバラに捉えている現場が多いが、実はすべてつながっている

堀井:皆さん評価という部分と1on1て繋がりどうなってんの?っていう部分が、ちょっとハテナの方も多いと思うので、こんなイメージを持ってるんですよっていうのをお伝えします。ここでの課題は、評価は評価、1on1は1on1、キャリア面談はキャリア面談のように、全部分断されていることだと僕は思っています。しかし、全部繋がっていますという話なんですよね。

マネージャーの皆さんに聞いてみると「評価面談やんなきゃいけないんだよね」「キャリア面談しなきゃいけないんだよね」「1on1しなきゃいけないんだよね」と、全部別物に捉えてることの方が圧倒的に多いです。それをやろうとすると何が起こるかというと、「時間が足りないです」っていう話が出てきます。そうではなくて、全部繋がっているという考え方です。

目標設定と評価の間の定期的な「振り返り」が大事

堀井:期初に目標設定しますよね。目標設定したら期末に評価をします。この目標設定と評価の間の部分がとても大事です。

目標設定したら、まず、皆さん行動します。その行動した部分について適切に振り返りをしながら、「何が良かったのか?」「何がまずかったのか?」「次の月はどうするとより良くなるのか?」、それを例えば毎月の1on1でやっていく。中間面談で、「これまでの期間はどうだったのか?」「その目標は適切なのか?」「ゴールはちゃんとすり合っているのか?」の確認を行う。この確認を行うことがすごく大事になってくると思っています。

これを毎月毎月やっていけば、おのずと評価する前にいい結果になっているはずです。期中に何にもやらないという状態が、結構現場で起きています。なぜかというと、忙しすぎるから。忙しいのは、評価と1on1や面談が全て繋がっていることを理解されないまま、「1on1をしよう」「キャリア面談やってくれ」「中間面接やってくれ」という話がでてくると、上長としては「なんでこんなことやんなきゃいけないんだっけ?」になるなと思っています。

評価が出たらちゃんとフィードバックして、「次の月・期はどうしようか?」と話をちゃんとした上で、また目標設定していくという流れがあれば、そんなに難しい話ではないと思っています。

行動に移せない人のブレーキを1on1で取り除く

島森:行動にブレーキがかかっている人、やれと言ったことをやってない人たちの多くは、やることはわかってるんだけど、どうしたらいいのかわからなかったり、自信がないことが多いです。そこを1on1で噛み砕いていくことが必要だと思っています。

期末にS・A・B・C・Dをもらうことでモチベーションが上がるのか、それとも毎月きちんと上司と話し合いができて、自分の行動がわかりやすくなるのはどちらがいいのかと考えた時に、評価よりも人材育成に時間かけた方がよいのではないかと考えています。

どれだけ人材育成に繋がったのか?1on1で行動の質・思考の質を上げていく

堀井:そうですよね。評価はもちろん大事ですが、結局その期中でどれだけ育成に繋がっていたのか、行動の質がいかに上がっていったのか、思考の質がいかにすり合ったのかというところの方がすごく大事だなと思っています。

結局何のためにやっているかというとパフォーマンスを上げたい。何のためにパフォーマンス上げるのかっていうと、会社のミッションやビジョンの達成のために皆さん一生懸命頑張ってらっしゃると思います。そういった意味では、レベルがちょっとでも上がっていくっていう方に重きを置いた方がいいと思います。

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