コラム
グループリフレクション事例
PDCAサイクル定着と部門間連携の強化を実現~グループリフレクションが”無理なく”導く心理的安全性の高い組織
コラム記事
2024/03/05
グループリフレクション(グルリ)は、PDCAサイクルの定着、心理的安全性の向上、経験学習の定着を目指しています。しかし、当初想定していなかった成果が得られたり、逆に組織の問題が浮き彫りになったりすることもあります。実際にグルリに取り組んだ企業の事例をご紹介します。
※グループリフレクションとは?
グループリフレクション(グルリ)は、PDCAサイクルを回すための仕組みで、2週間に1度、1チーム4人のグループでリフレクションを行います。自分自身の振り返りと他メンバーからのフィードバックを通して、お互いの成長を促す効果を期待できます。このコラムでは、グループリフレクションの効果「経験学習の定着」について解説します。
詳しくはグループリフレクションとはをご覧ください。
実施内容
精密機器メーカーで、各部門の部長クラスを対象にグループリフレクション(グルリ)を実施しました。部長クラス9名に対し、3名×3グループで毎回メンバーを変え、全8回(月2回×4か月)を通して、PDCAサイクルの定着や部門間連携の強化を目指しました。
グループリフレクション参加者の声を考察する
グルリの最終回に、必ず参加者から感想をいただきます。「PDCAサイクルの定着」「心理的安全性の向上」「経験学習の定着」「部門間連携の強化」の視点で受講者の声をご紹介し、そこから見えてくることを考察します。
PDCAサイクルの定着
参加者の声
・ビジョン・3か月後のありたい姿が固まっていないと、PDCAサイクルが回せないと理解した。
・3か月後のありたい姿がはっきり見えたので進めやすかった。
・自分でビジョンを描くと、具体的なPlanが描けると分かった。
・PDCAは理解しているつもりだったが、具体的に使い方を学べた。
・活動が自然に進む感じがある。
グルリは、実践から学ぶことを重視しています。PDCAサイクルについては、誰もが理解していると思われがちですが、実際にPDCAを適用してみると、多くの新たな気づき(自身が不足している箇所の発見)があります。「ありたい姿があると、具体的なPlanがでてくる」といったことに気づくことで(自分の言葉で言語化することで)、より効果的なPDCAサイクルを回すことが可能になります。
また、「活動が自然に進む感じがある」という感覚は、私自身も経験しました。始めは社内でグルリを導入しましたが、何か見えない力に導かれるように物ごとが進んでいく感覚がありました。もちろん、グループリフレクションは、定期的にグルリの発表があることで、それに向けてDOが推進されるという仕組みでもあります。
心理的安全性の向上
参加者の声
・人に話すことで安心感が芽生えた。また、フィードバックを受けて腹落できるので、より積極的に動けるようになった。
・共感してもらえることで、自分の救いになった。
・困っているときにアドバイスするだけではなく、共感してもらえるだけでも力になった。
・これから一緒に関わる人にも、共感を大切に接してきたい。
・初めは不安だったが、安心した気持ちでグルリに参加できた。安心できたので、自分の不足点を受け入れられるようになった。
・最初は楽しくなかったけど、今は大分楽しくなった。課長たちにも楽しいと思えるグルリを提供したい。
「安心」「楽しい」という声はよく聞かれます。しかし、今回は「救い」という声が上がり、少し驚きましたが、それだけ皆さんが一人で奮闘しているのだと感じました。会社が「安心」や「癒し」の場を提供できることは、本当に嬉しいです。まず、安心してリラックスしなければ、他人からのアドバイスが心に届かないと思います。この点について、受講者の声がとても良く表現されていると感じました。
経験学習の定着
参加者の声
・問題は自分が起こしているという自分内省が進んだ。再度、心理的安全性の学びを直している。自分のマネジメントスタイルを反省できた期間だった。
・Checkの中にある内省が大切だと感じた。感じたことを表現することで、自分の内側を表現することの大切さを感じた。
・色々な視点でフィードバックを聴くことで、それぞれの気づきにつながった。
一番上の声の方は、グルリのプログラム期間中に部下の離職とメンタルヘルスの問題が相次ぎ、深い自己内省が進みました。60歳に近い年齢であっても変容が可能であることが、今回新たな発見でした。同様に、「葛藤している」「つらい時期だ」といった感情を互いに共有できるようになり、支え合える関係性が築けたと感じています。
部門間連携の強化
参加者の声
・これまで、部門間での共有がなかった。これからも自分たちでグルリを継続する。
・部門ごとの情報が共有でき、共感できた。これによって、部門の垣根を越えて協力できるようになった。
・部下の不安を解消することも進んだと感じた。
部長同士の連携不足は、「連携を避けている」よりも、「連携の方法が分からない」という状況が近いと考えています。グルリの場で互いのPDCAサイクルの進捗を共有し、否定せずにポジティブなフィードバックを交わし、困っていることを共有することで、自然と相手への理解と協力の精神が育まれます。
最後に
ティモシー R. クラークという、リーダーシップのコンサルティングと研修をグローバルに提供する企業の創業者兼CEOの書籍『4段階で実現する心理的安全性』では、「尊重」と「許可」を与えれば与えるほど、メンバーはより強く心理的安全性を感じ、それに反映した行動をとるようになると書かれています。また、心理的安全性は、インクルージョン安全性→学習者安全性→貢献者安全性→挑戦者安全性の順で向上していくと言われています。
グルリでは、まさにこの4段階の通りに進むと感じられ、インクルージョン安全性、お互いを仲間だと受け入れて、安心して自分を表現したり、相手をしっかり受け入れたりできると、学習者安全性、自分の内面に気づいたり、自分ができないことを表現したり、他者に学びを乞うことができます。
そして、貢献者安全性、成功すれば認められ、褒められ、逆に失敗しても大丈夫という安心が生まれます。グルリでは、「Planに掲げたけど、進みませんでした」も素直に表現してもらいます。これらがあって、安心して挑戦できるのです。
心理的安全性は、本当に業績向上・組織風向上の第一歩なのでしょう。
もっと詳しく知りたい方へ
この記事を読んで、グループリフレクション(グルリ)について詳しく知りたい方、相談したい方は、下記からお問い合わせください。
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