コラム

グループリフレクション事例
劣等感を開示し、周りに受け入れられる体験~グループリフレクションが癒やしと信頼感醸成の場に~

2024/02/20

グループリフレクション(グルリ)は、PDCAサイクルの定着、心理的安全性の向上、経験学習の定着を目指しています。しかし、当初想定していなかった成果が得られたり、逆に組織の問題が浮き彫りになったりすることもあります。実際にグルリに取り組んだ企業の事例をご紹介します。

※グループリフレクションとは?
グループリフレクション(グルリ)は、PDCAサイクルを回すための仕組みで、2週間に1度、1チーム4人のグループでリフレクションを行います。自分自身の振り返りと他メンバーからのフィードバックを通して、お互いの成長を促す効果を期待できます。このコラムでは、グループリフレクションの効果「経験学習の定着」について解説します。
詳しくはグループリフレクションとはをご覧ください。

グループリフレクションで向き合う”劣等感”

人間は誰しもが”劣等感”を抱えている

人間は誰しもが劣等感を持っています。劣等感とは、他者や理想の自分よりも今の自分が劣っていると感じることです。健全な劣等感は、能力を身につけたり、成果を出そうと努力するための原動力になります。しかし、不健全な劣等感が前面に出ると、以下のような行動が見られます。

  • 自分の実力以上に、力を誇示しようとする。
  • 劣等感に触れられると怒りを感じ、相手を攻撃する。
  • 体裁を整えることを優先し、意思決定や行動が本質からズレる。
  • 自己否定の思考が渦巻き、行動にブレーキがかかる。
  • 自分の本音に触れることを恐れ、冷静・冷淡・無表情になる。

誰でもこのような行動をとることがあり、私も意図せずに表現してしまうことがあります。グループリフレクション(グルリ)では、不健全な劣等感により、以下のような行動が見られます。

  • 自分は素晴らしいと示すため、マウントを取る(フィードバックの時間に自分の話をする)。
  • 相手の弱点を見つけては、指摘や指導をする(フィードバックの時間に発表者の指導をする)。
  • 振り返りシートや発表の体裁を取り繕うために、自分の本音を隠して記入・発表する。
  • 意思決定や行動が後手になる。
  • 自分の体験が浅くなり、他者と感情の交流ができない(場への影響力が薄くなる)。

最初は隠す”劣等感”、思い切って開示してみたらどうなる?

最初は、どの組織でも取り繕うことを優先して、本音を言わないグループリフレクションからのスタートになります。しかし、発表者を尊重するフィードバックを受けることで、「自分が何を言っても受け入れられる」と安心し、劣等感が癒され、本音を表現できるようになります。

「書き方がわからず、いつも○○さんのグルリシート(振り返りシート)を参考にしています」
「本当に辛い2週間でした。人生で一番悩んでいます」
「大変でしょうから、この部分は私たちが対応します」
「久しぶりに忘年会やったら、めっちゃ楽しかった。本当に楽しかった」
「自分が行動したことについて、肯定的な意見をもらえて安心しました」

このようにグループリフレクションが温かく、連携が深まる場に変わります。

人は、自分の劣等感に触れたくないため、それを隠してしまいがちです。しかし、思い切って劣等感を開示して、それを他のメンバーに受け止められる体験をすることで、劣等感が癒され、互いの信頼が深まり、想定外の結果が現れることがあります。それによって、信頼関係が再構築され、強い連携が生まれます。

グループリフレクションの効果

「聴いてほしい、認めてほしい」が満たされる場で、前向きな気持が行動変容を促す

人には劣等感があるため、承認欲求があります。「話を聴いてほしい」「自分を認めてほしい」という欲求があります。普段、会議などで発言する場はあるものの、参加者は話を聞いているようで聞いていことが多いです。発表者が発言しているのに、聞き手は話を分析したり、問題点を見つけて否定しようとしたりします。なかなか承認欲求が満たされる場面は少ないのです。

グルリでは、最初はポジティブなフィードバックをルール化しています。グルリはPDCAサイクルを回す場だと思われがちですが、周囲からポジティブなあたたかいフィードバックを受けることで、自分の中にある劣等感が癒される場になっていきます。そうすると、だんだんグルリが楽しみになってきて、PDCAサイクルの回転力もあがってきます。

グルリでの発表があるから、実行をしっかり進めようという前向きな気持ちにもなります。グループの他のメンバーの実行する様子を見て、触発されて頑張りたいという気持ちになります。

もしかすると、気持ちから行動を変えていくことができるのがグルリの特徴かもしれません。
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もっと詳しく知りたい方へ

この記事を読んで、グループリフレクション(グルリ)について詳しく知りたい方、相談したい方は、下記からお問い合わせください。

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