コラム
グループリフレクション事例
グルリ参加者のプレゼンテーション力UP~ポジティブフィードバックが個々の成長を促す~
コラム記事
2024/01/30
グループリフレクション(グルリ)は、PDCAサイクルの定着、心理的安全性の向上、経験学習の定着を目指しています。しかし、当初想定していなかった成果が得られたり、逆に組織の問題が浮き彫りになったりすることもあります。実際にグルリに取り組んだ企業の事例をご紹介します。
※グループリフレクションとは?
グループリフレクション(グルリ)は、PDCAサイクルを回すための仕組みで、2週間に1度、1チーム4人のグループでリフレクションを行います。自分自身の振り返りと他メンバーからのフィードバックを通して、お互いの成長を促す効果を期待できます。このコラムでは、グループリフレクションの効果「経験学習の定着」について解説します。
詳しくはグループリフレクションとはをご覧ください。
背景と課題
意見を求められるも、人前で話すことが苦手な工場マネジャーたち
機能別組織の形態を採用している食品関連メーカーの事例です。多くの従業員が製造部門に所属しています。社長の交代に伴い、工場マネジャーが意見を求められる機会が増えましたが、工場マネジャーたちは人前で話すことに慣れていませんでした。
この会社でグルリを導入する中で、社長からプレゼンテーション力を向上させるための研修の依頼もあり、グループリフレクションとともに短時間のプレゼンテーション研修も実施しました。
実施内容と効果
制限時間内での発表を重ねることで、自然とプレゼンテーション力UP
この会社では、工場マネジャーを対象にしたグループリフレクション(グルリ)を実施しました。
グループリフレクション(グルリ)では、1人の発表時間は5分以内に制限しています。伝えたいことが多い場合など、制限時間内での発表に苦労することもあります。
グルリに参加した工場マネジャーからは、
「何度も練習したのに5分以内に発表できず、時間をオーバーしてしまった」
「発表してみて、要点を絞ることが難しいと気づいた」
といった声が聞かれ、最初の数回は5分の制限時間を守るのに苦労している様子がうかがえました。
回数を重ねるうちに、発表前に重要な部分に色をつけるなどの工夫が生まれ、最終的には5分以内に発表できるようになりました。発表時の緊張も次第に和らぎ、自然にスピーチができるようになっていきました。
この会社では、月に1回の頻度でグルリを実施しました。半年ほど続けた後、振り返り研修が行われ、その最後に工場マネジャーたちが一人ずつ発表しました。社長からは、「発表が上手くなった。要点を押さえられるようになった」とのお褒めの言葉がありました。皆が要点を押さえる練習をし、発表の練習を重ねた結果、自然とプレゼンテーション力が向上しました。グルリを通じてプレゼンテーション力が向上するという予想外の成果が得られ、私も非常に喜んだ瞬間でした。
一般的な研修では、概念論を伝えて、現場で実践してもらいますが、グルリではその逆になります。実践しながら、概念を掴んでいくので、教えることなく、プレゼンテーション力や、PDCAサイクルを回す力が身につきます。
今回、短時間のプレゼンテーション研修も実施しましたが、研修のみではこのような成果は得られなかったでしょう。グルリの発表をとおして、実践し、フィードバックを受けて、改善するという好循環が生まれたことで、プレゼンテーション力の向上につながったと考えています。
最後に
「できてるよ」成長を後押しするポジティブフィードバック
人間は誰でも劣等感を抱えつつ、同時に向上心も持っています。特に工場マネジャーになる方々は、意欲が高い方が多いです。
グルリでは、個人の発表後にグループメンバーからのフィードバックが行われます。このフィードバックは、最初はポジティブな内容に限定しています。というのも、できていない点を指摘するよりも、「できている」が不安や自信がない箇所に焦点を当てる方が効果的だからです。
たとえば、「5分以内に発表できなかったのは、ありたい姿の説明が長かったからですね」と指摘されたとします。しかし、これは発表者自身がすでに認識していることが多く、指摘を受けることでさらに劣等感が強まり、発表時の緊張や失敗の悪循環を生む可能性があります。
一方で、「PDCAサイクルがしっかり回っており、その部分の発表は流れるようにスムーズでした」と「できている」箇所を伝えられたとします。このようなフィードバックを受けることで、発表者は「できている」箇所に対する自信を深め、次回の発表に対して安心感を抱くことができます。同時に、自然な形で改善すべき箇所に意識が向き、主体的に修正に取り組みます。
私はグルリで、「できていること」をフィードバックするように心がけています。不安や自信がなさそうに感じる箇所を見つけ、「できているよ」というメッセージを込めてフィードバックします。
安心できる環境があると、気づきも深まり、成長が促されます。これは心理的安全性が高まったときの効果とも言えるでしょう。
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もっと詳しく知りたい方へ
この記事を読んで、グループリフレクション(グルリ)について詳しく知りたい方、相談したい方は、下記からお問い合わせください。
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