コラム

意図行動と反応行動、能動思考と受動思考

2022/11/10

意図行動と反応行動、能動思考と受動思考

最近、心理的安全性や1on1研修で、「意図行動と反応行動」の話を盛り込んでいます。「反応行動」が部下の心理的安全性を損ねたり、部下の不信頼を生んだりする構造を伝えています。

会議や面談の場面で、「本当は部下の話をじっくり聴きたい」(意図行動)けど、「ついつい結論を述べてしまう」(反応行動)と、意図したこととは異なる反応行動をしていることが多々あるので、そこに自覚的になってもらうように解説・演習しています。

自分の意図とは異なる反応行動が、部下の自主的な意見を抑圧したり、1on1の効果を下げたりしています。しかし、反応行動は無自覚なので、繰り返し同じことをしますし、自己補正は難しいのです。

意図行動と反応行動

意図は、自分が考えて、自分に指示した行動のことです。
反応は、自分で考えずに、自分の意図とは異なる行動のことです。

反応は、自分の意思に関わらず、体に起きる現象です。緊張も反応の一種です。「よし、今から緊張しよう」と自分に指示している人も少ないでしょうし、「緊張をやめよう」と意思で止められるものではありません。ですから、自分の意志ではコントロールできない反応という名称をつけています。

では、どうして反応が起きるのでしょうか?2つの場面で解説します。

1つ目は、研修開始の頃に多少緊張したり、体がこわばっている場面です。「研修開始の頃は、緊張することが多いですが、なぜ緊張するのですか?」と聞くと、「発言して、周囲からバカにされることを恐れている」「意見を述べて、講師から否定されることを恐れている」などの意見がでてきます。そんな妄想に駆られて、緊張や体のこわばりを起こしてしまいます。

2つ目の事例は、会議や1on1で部下の意見にかぶせてしまう場面です。「会議や1on1では、部下の意見をしっかり聞くと、どのようなことが起きると妄想していますか?」と聞くと、「部下が自分を攻撃するような意見を述べることを恐れている」「部下が自分より優秀な意見を述べることで、自分の立場がなくなることを恐れている」などの意見がでてきます。

多くの場合、起きそうもない妄想で反応行動を起こしています。そして、この妄想は無自覚なのです。研修では、まず自分の行動が反応・妄想に左右されていることに自覚的になってもらいます。その後、この自分の反応がどこから生まれるのか?それをどうしたら解消できるのかをお伝えしています。

能動思考と受容思考

思考も反応の一種だと考えています。「よし、今から思考しよう」と考えている場合は少ないでしょうし、「思考をやめよう」と意思をもって1日思考をやめておくことは困難だからです。

ここで、思考を二つに分類します。能動思考と受容思考です。
能動思考は、「よし、今から考えよう!」と思って考えることです。
受動思考は、勝手にぐるぐる思考したり、無自覚な妄想もあてはまります。

一説によると、人は1日に5~6万回思考しているといわれています。私の場合は、能動思考は1日10回ぐらいかと思います。そうすると、99.9%は受動思考なのではないでしょうか?この受動思考をやめないと、現実世界を歪んでみたり、妄想に支配されたり、自分が意図した行動がとれなくなります。つまり、エゴの自分と、本当の自分の分離がどんどん進みます。

自分を取り戻すためには、思考より感覚を優位にする必要があります。それで、私自身は、仕事を半分にしてきたり、長い旅に出ていたりしていました。徐々に、この受動思考をやわらげ、感情に振り回されない、そして感覚優位に生きるための学びを伝えていきたいと考えています。

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