コラム

目標設定・振り返りシートの活用方法/テンプレートの無料ダウンロード
目標管理を有効に活用するために

2021/04/09

今の評価制度に疑問を感じたら読む本(島森俊央著 日本生産性本部 労働情報センター)にも記載しましたが、個人的には目標管理に限界を感じています。さらに、目標管理の結果を報酬に結びつけるのは、さらに困難だと感じております。

それは、

  1. VUCA(ブーカ)の時代に、戦略を策定して、方針にまとめて、展開している時間がない
  2. そもそも、方針展開が部長・課長の捉え方で転換されてしまう
  3. そもそも、方針を作って終わりという会社が多い
  4. 何度も目標設定の研修をしてきたが、PDCAサイクルを回すためのPlan=仮説を設定できない
  5. 成人発達理論を学んで理解したこととして、ある一定の発達段階に至らないと将来の概念が薄く、ありたい姿を共有できない。つまり、将来ありたい姿に向かってPDCAサイクルを回すことを概念的に認識できない若手社員・中堅社員が存在する。

などなど、理由があって限界を感じています。

そうはいっても、いきなり「方針展開をやめた」「目標管理をやめた」という意思決定は難しいかと思い、限界を感じながらも、有効に機能しそうな目標設定シートを作成しました。報酬に結びつけるより、役割認識・振り返り・コミュニケーション機能を重視したシート(テンプレート)になります。下記からダウンロードしてご利用ください。

目標設定・振り返りシートの活用方法

目標設定用のシート、毎月の振り返り用のシート、半期の総括のシートを分けて作成しましたので、それぞれについて解説します。

目標設定シート

ポイント1:方針の受け取りと自分の役割の認識

上位方針があるものの、その方針と自分の役割との結びつきが薄いのを回避するために、方針に基づいて重点課題を記入できる様式にしました。

方針展開の進め方
  1. 上司が方針・背景を説明し、部下一人ひとりに重点課題を割り振る。
  2. 部下が認識した重点課題をシートに記入する。
  3. 目標設定(今期の目標・実行計画の共有記入)の前に、お互いの認識があっているかを確認する。
  4. その時に、役割認識と期末のゴールイメージ(今期の目標・実行計画の目標項目と達成基準)を上司から部下に伝えるとよいでしょう。

ポイント2:「何を、どこまで、どのように、いつまでに」を記入する

下記4項目と「上司からのアドバイス」から構成されます。
 目標項目(何をどうする):目標の対象
 達成基準(どのレベルまで):目標のゴール
 実行計画(どのように):目標を達成する手段
 期日(いつまでに):手段の実行する期日
この4項目を記入して、具体的な行動を起こせるようにします。
必要に応じて、「上司からのアドバイス(加筆・修正)」を入力します。

目標設定の進め方
  1. 上司が、目標項目(何をどうする)、達成基準(どのレベルまで)を部下に伝える。
  2. 部下が、実行計画(どのように)、期日(いつまでに)を構想し、シートに入力する。
  3. 目標設定は、優先課題順に3つ程度でよいでしょう。
  4. 目標設定面談で、目標設定内容を共有する。上司が、部下の実行計画や期日に納得し、これであれば達成基準をクリアできそうだと納得するのがゴールになります。
  5. 実行計画や期日に修正があれば、それを反映させて提出してもらいましょう。

毎月の振り返りシート

ポイント1:上司・部下との定期的な1on1を実施する仕組み

毎月、上司・部下とで1on1ができるように、実施したこと・結果・振り返りを記入してもらい、1on1実施のサイクルを定着化させることを狙いにしています。

1年・半年などの長期の目標が設定できない企業は、このシートだけ活用しても良いでしょう。毎月「役割は何で」「何をして」「どう振り返ったのか」を記載できれば、役割認識・人材育成面で十分機能しますし、上司・部下とでコミュニケーションも活性化するでしょう。

毎月の振り返りの進め方
  1. 部下が、実施したこと、結果(達成基準の達成状況)、振り返り(実施や結果について感じたこと)を記入する。
  2. 記入した内容に基づいて、振り返りミーティングを実施する。進捗の確認・振り返りのアドバイス程度であれば、15分程度でも良いかもしれません。
  3. 振り返り部分が大切なので、何を体験して、何を学んだのかの言語化支援を上司ができるとよいでしょう。
  4. 翌月に向けて、上司から依頼する役割、成長して欲しい課題などを伝えることができれば、毎月意識した仕事・行動ができるでしょう。

ポイント2:振り返りのレベルをブラッシュアップする

振り返りは、実施したこと・結果について内省するために設けていますが、

Step1)実施できた・できなかったという事実の振り返り
Step2)実施したことと結果のつながりを考察する振り返り
Step3)次のアクションをどうするのか構想を入れた振り返り
Step4)自分の中で感じた感情なども含めた内的な振り返り
Step5)自分の癖や習慣・固定観念などに気づける振り返り

など、上司が振り返りの内容について指導できれば、さらに深い内省支援に結び付けられると思います。

半期の総括シート

ポイント1:半期の総括は、結果で振り返る

目標を分担する以上、役割を担った仕事について、しっかり成果を振り返ることが大切です。

ⅰ)達成基準をクリアしたか?否か?
ⅱ)達成基準クリアに向けて、行動したり、新しい計画を作成したりというプロセスは踏まえたか?

という視点で振り返りができるとよいでしょう。成果を出せたかという視点だけではなく、成果創出に向けた仕事の進め方のレベルアップが図れたかも振り返りしたいところです。

ポイント2:結果を評価に結びつけるのは難しい

環境の変化も激しいですし、仕事の役割も変化したり、目標の難易度も異なるでしょうから、単純に達成基準の達成度で評価したものを報酬に結びつけることに限界はあると思います。

欧米のように、〇〇できたらボーナス〇万円というような明確な報酬体系であれば可能ですが、現状の日系企業の風土には合わないでしょう。

ここでは、目標ごとに評価は行わず、成果とプロセスから総合評価するのも1つの方法だとして、評価に関係するようなセルは設定しませんでした。

その方法が最適かは、各社の判断によると思いますので、会社ごとのルールで決めていただければと思います。

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