コラム

定量目標と定性目標の仕事・目標設定・評価方法の違いとは?
定量目標と定性目標

2021/03/22

目標設定の季節になりましたので、本日は「定量目標」と「定性目標」の違いについて解説をしたいと思います。

結論から申し上げると、「定量目標」を設定する仕事と、「定性目標」を設定する仕事では、仕事の進め方が異なるので目標設定方法が異なりますし、評価方法も異なった運用をすることを提案します。

「開発部門の目標は、長期に渡るから目標設定が難しい」
「間接部門は目標設定しても、仕事の優先順位が刻一刻と変わる」
「事務職は、ルーティンワークが多いから目標設定は難しい」
などの質問をよく受けます。

どの会社でも同じようなことを聞かれるので、皆さんご苦労されていると推察します。どの会社でも同じような悩みを抱えている以上、開発部門・間接部門・事務職は目標設定に向かない仕事なのでしょう。

目標設定に向かない以上、目標設定をやめればよいと思います。

そうはいっても、目標設定のシーズンになりますし、現実的に評価はどうするのか?という疑問もあると思いますので、どのような観点で目標設定すればよいのか、どのような視点で評価すればよいのかを解説します。

「定量目標」と「定性目標」とは?

まずは、「定量目標」と「定性目標」の解説から始めます。

目標の達成基準の表現方法には、達成基準を量的に表現する「定量目標」と、質的に表現する「定性目標」があります。どの表現方法にするかは、職種、目標項目の内容、個人の役割に応じて適切なものを選択します。

ただし、どちらの達成基準であっても、目標の達成度を客観的に判定するために、「後から測定できる表現」にすることが望ましいです。 

個人的には、定性目標を無理に定量化することはお勧めしておりません。無理に定量化することで、本質からずれた目標になるからです。

営業職・生産職などは目標の達成度を客観的に判定するために、目標はできるだけ定量化(数値化)して設定します。定量目標では、指標(必要に応じて計算式)を明らかにし、判断基準(基本的に数値)を示すようにします。

「定量目標」の例

開発職・スタッフ職・事務職などは、「どのような状態になったときに、目標が達成されたのか」を質的に表現する定性目標を設定したほうが適切な場合が多くあります。定性目標を設定する場合、仕事の出来栄えを測定するときに、何をもって判断するのかという観点を明確にすることが必要となります。
達成レベルがわかるような状態や条件(期限・目標が達成された状態のイメージなど)を明らかにし、「~の状態になる、なっている」「~を完成させる、完了する」というように表現します。

【定量目標の設定事例】
指標+数値で示す
例)売上高30百万円、コスト削減額4百万円、生産性向上150円/時間、新卒採用7名 など

「定性目標」の例

少し応用編の内容ですが、「コンプライアンス違反0件」「事務ミス0件」と目標設定する場合、一見定量目標に見えますが、本質的には定性目標だと解説しています。本来は「コンプライアンス違反0件にできるように法令遵守ができている状態」「事務ミス0件になるような仕組みや意識づけが定着している状態」と解釈すると、これらは定性目標だと分かるでしょう。目標設定した達成基準よりもよい状態をつくることで、S評価やA評価もつくと考えています。

【定性目標のありたい姿】
ありたい姿の状態を示す
例)コンプライアンスが徹底され、コンプライアンス違反がない状態をつくる
例) ○○を開発して、現状より業務が15%効率化された状態をつくる

「定量目標」と「定性目標」の仕事の違い

次に、「定量目標」と「定性目標」の仕事の違いについて解説します。

定量目標

定量目標は、達成基準(ありたい姿)が設定され、その後に実行計画を考えます。達成基準をクリアするための、仮説・作戦・進め方などを実行計画に盛り込みます。仕事の進め方は、仮説検証を繰り返しながら、達成基準をクリアするというやり方になります。進捗管理は、実行したか?仮説があっていたか(成果がでたか)?を検証しながら進めていきます。

定性目標

定性目標は、達成基準(ありたい姿)が設定されるケースは少ないです。そもそも目標が展開されなかったり、やること(実行計画)ありきだったりするからです。目標設定した事例を分析しても、達成基準が描かれているケースはまれで、ほとんどやることが達成基準になっています。仕事の進め方は、実行計画と期日に対して、実行の進捗を追っていきます。達成基準はそれほど意識しないものの、実行計画・段取りを工夫しながら進め、何とか納期どおりに仕事を納品する進捗管理をします。

「定量目標」と「定性目標」の目標設定

続いて、「定量目標」と「定性目標」の目標設定の難しさについて解説します。

定量目標

定量目標では、一般的に実行計画の記入方法が難しいです。これまで、多くの評価シートを見てきましたが、実行計画の欄に仮説が盛り込まれてないケースがほとんどでした。一般的な策(例:新規顧客の創造など)を実行計画に入れてしまうと、実行前に大切なこと・成果がでることが分かっているので、仮説検証のサイクルが回りません。仮説には、どの層をターゲットに置くのか?どの方法でやってみたら効果がありそうか?などの仮説を盛り込むことが必要です。仮説・検証力を上げるためにも、しっかり仮説を設定する必要があります。

定性目標

定性目標では、一般的に達成基準の設定が難しいです。実行計画(道筋・段取り)は書きやすいですが、達成基準(ありたい姿)が上司と部下とで共有されていないケースが散見されます。目標設定は、ありたい姿を状態で示すことができるとよいでしょう。

「定量目標」と「定性目標」の評価方法

最後に、「定量目標」と「定性目標」の評価方法について提案です。

上記の点を考えると、定量目標では達成基準で評価すべきですし、定性目標では実行計画(仕事の進め方・プロセス)で評価すべきと考えます。

営業職・生産職などは定量目標を掲げて達成基準の達成度を評価し、開発職・スタッフ職・事務職などは定性目標を掲げて実行計画の遂行ぶりを評価する方法で良いと思います。

定量目標・定性目標の設定方法
定量目標・定性目標の設定方法

現実的には、定性目標の達成基準には、実行する内容が書かれていることが多いので、実態としては、開発職・スタッフ職・事務職は、実行計画の遂行ぶりで評価されていると考えていますので、思い切って仕組みを変えることで、不満や悩みは減るかもしれません。

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