コラム

人材育成事例
【グループコーチング事例】よりよい組織風土醸成を目指す

2020/10/08

中堅の精密機器メーカーでグループコーチングを実施しました。その事例をご紹介します。

背景と目的

開発部門の離職率が課題

この企業の組織は、営業・生産・開発・管理部門で構成されています。差別化ポイントは「開発力」ですが、開発できる人材の育成に時間がかかることが経営課題の1つでした。さらに、近年開発部門の離職率が高く、人材を育成しても、中堅社員が退職するという悪循環を繰り返していました。

各部長が集まり、社員のキャリアを考える人材戦略会議を実施したときに、開発部門の離職率の問題が挙がり、この課題を解決しない限り、会社の将来は危ういという話になりました。

また、現場の若手社員にインタビューすると
「マネジャーが、いつもイライラしており、言われたことを言われた通りにやるしか方法がない」
「マネジャーの頭は凝り固まっており、狭い領域にボールを投げないと、修正ばかりで仕事が進まない」
「人材育成はOJTもなく、単なる放置である。できる人は成長するけど、できない人にとってはかなりつらい職場である」
などの意見がありました。

価値観を抜本的に変えるためのグループコーチング実施へ

そこで、部長+3名のマネジャーのグループコーチングを提案しました。上記の「イライラ」「頭の凝り固まり」「部下の放置」は、論理的に考えて実行しているのではなく、メンタルモデル(深層心理にある固定観念)や反応的な行動(エゴ的な行動)であることから、研修での知識の習得だけでは変容が難しく、価値観を抜本的に変えるために、少人数のグループコーチングを選択しました。また、部長+マネジャー3名でコーチングを受けることで、お互いに考えていることやメンタルモデルを共有できるために、チームビルディングにつながると考えました。

通常のコーチングとは異なり、メンタルモデルなどを取り扱いながら、自分の反応的な行動にも目を向けてもらうコーチングを実施しました。深層心理まで深堀るコーチングであるために、発言しやすい場づくりや心理的な安全性の確保、メンタルへの気遣いなど配慮しながら進めました。

実施した内容

4回のグループコーチングを実施

今回はコロナの影響もあり、リアルで2回、WEBで2回のグループコーチングを実施しました。

グループコーチングでは、メンタルモデルの存在に気づき、それを手放すことで、自分のギフト(生まれ持った才能)の気づきまで誘導しました。グループコーチングを通して、ギフトに生きることを体験・体感してもらうことをゴールに進めました。下記のような流れで3回~5回のグループコーチングを実施します。今回は4回のセッションを実施しました。

  • 1回目 安全な場づくり
    お互いに身の回りに起こっている不本意な現実を共有したり、ワークシートを用いながら浅いメンタルモデルを発見します。
  • 2回目 メンタルモデル発見
    コーチが一人ひとりのメンタルモデルを丁寧に見つけて、本人が腑に落ちるまでサポートします。
  • 3回目 ギフト発見
    メンタルモデルの構造から、自分の人生の課題(起きがちな不本意な現実)を見極め、その下に眠っているギフトを発見します。
  • 4回目 新しいリーダーシップの発見
    自分のギフトの使い方を考えながら、メンバーからフィードバックをもらったりしながら、新しい自分のリーダーシップのあり方を見つけます。

【メンタルモデルとは】
メンタルモデルとは、自分の解釈(価値観・経験・こだわり)などの根底にある自分独自の信念・固定観念をいいます。現実世界をみる独自のフィルターのことです。自分の内面ではあるはずだと思っていたことが、現実世界にはないと思った瞬間に生じた痛みに対して、その痛みを回避するため構築された信念・前提・拠り所になっているものです。その人が根底に抱えている信念・固定観念なのですが、多くの人はその信念・固定観念に気づかずに生きています。メンタルモデルによって、その人はうまみ(能力を開発したり、力を兼ね備えたりするなど)も受容できますが、同時に代償(人間関係がうまく行かなかったり、自分への自信を喪失するなど)が起きます。

【ギフトとは】
ギフトとは、生まれ持った唯一無二の才能・ユニークさです。全ての人が必ず保有しています。全ての人は、自分のギフトに生きることで、最高のパフォーマンスを発揮できるように仕組まれています。ただ、生きていく過程で、挫折を経験したり、諦めたり、自信を喪失する過程で、徐々にギフトの輝きは失われていきます。メンタルモデルに起因する「人生の課題」をクリアすると、ギフトが輝きだします。

グループコーチング レポート例

グループコーチングの効果

マネジャーに頼りやすい・聞きやすい組織風土に

部長とマネジャー間の関係が良好になり、各チームの組織風土が変わりました。特に、マネジャーに頼りやすい・聞きやすい風土に変わりました。マネジャー本人はその変化に余り気づいていませんでしたが、部長が下記のように変わったと報告してくれました。

Aさんのチームは、Aさんのイライラがなくなり、分からないことやできないことをAさんに頼れる組織風土に変わりました。
Bさんのチームは、Bさんに人が集まるようになり、和気藹々した組織風土に変わりました。
Cさんのチームは、チームの組織風土が変わったというより、Cさんが開発部門への関りを増やして、組織間連携が図れるようになりました。

今回の3名のマネジャーは、それぞれ、
・仕事へのこだわりが強いマネジャーは、自分が指導すればするほど、部下が萎縮し、できない部下に対して怒りをぶつけるという悪循環を俯瞰できたとき、自分を客観視でき、こだわりが嘘のように消えました。イライラがなくなり、部下が頼りやすいマネジャーに変化しました。
・自分一人で頑張り、部下放任タイプだったマネジャーは、自分の内面をオープンにすることで、周りに人が集まるようになりました。
・会社組織に適合しないとダメだという思いの強かったマネジャーは、感性豊かなアイデアマンの自分を思い出し、管理型からアイデア想像型のリーダーに変化しました。

自分を客観視することにより、自分の反応的な行動を保留したり、抑制したりできるようになり、マネジャーの行動が変化します。また、メンタルモデルの構造を理解し、本当の自分に気づくことで、自分なりの本質的なリーダーシップを発揮することができます。

グループコーチングサービスのご紹介

弊社のグループコーチングでは、これまでなかなか手が付けられなかった「人に関わる真の課題」を解決できます。どうして手を付けられなかったというと、その人のエゴやメンタルモデルに関わる問題であり、本人は上手に回避する(言い訳してやらない)からでした。

それに対して、気軽に自己開示をして、安全にメンタルモデルに気づき、職場の仕事を通して変容することを、グループコーチングサービスでサポートできます。問題には、技術的解決ができるものと、本人の認識を変えないと変わらないものがあります。この後者の問題をそのまま直球で解決できます。

グループコーチングに興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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