コラム
心の成長/成人発達理論
自分の認識の枠のちょっと外にある「問題」と向き合うことが次の成長につながる
コラム記事
2019/08/16
『インテグラル理論』(監訳加藤洋平、訳門林奨)のP105に下記のような文章があります。
どんな要因が一人ひとりの変容を促進しうるかを見ていこう。私の考えでは、特に重要な要因は次の四つだ。「達成」「不協和」「洞察」「開放」である。(中略)
変容が起こるためには、一般的に言って、何らかの 不協和(Dissonance)が生じなければならない。新たな段階が必死に現れようとしているのだが、昔の段階も捨てられないと必死にしがみついている。そうして個人は、二つの段階の間で引き裂かれ、不協和を感じ、さまざまな方向に引っ張られているのである。
弊社では、この不協和を「不本意な現実」と表現して、成人発達理論を取り入れたワークショップをやっています。
人は事実を ” 自分の認識の枠で加工”して解釈する
人は事実を自分の発達段階で認識できるように加工して解釈します。人は自分の認識の枠で加工できる事実は、問題ではないと捉えます。逆に、自分の認識の枠を超えた事実について「問題だ!」「相手が悪い!」「自分が悪い!」などの感情が走ります。一方で、自分の認識の枠をはるかに超えた事実は、問題だと認識しません。赤ちゃんが友達関係で悩んだり、道路の渋滞を問題だと思ったりしないのと同じです。若手社員が会社経営について、危機意識がないことも同様かもしれません。
つまり、問題だと感じる事実は、自分の認識の枠を少し超えたあたりにある、次の発達に向けたサインだと捉えることもできます。
認識のちょっと外にある「問題」に向き合うことが発達エネルギーに
そう考えると、自分の認識のちょっと外にある「問題」に耳を傾け、じっくり向き合うことが発達エネルギーになりそうです。問題を他責化したり、問題で思い悩んだりすることも大切です。しかし、視点を変えて、その問題を通して自分はどのように解釈を変えるのか?どのような行動を選択するのか?を客観的に捉えることができれば、問題を楽しめるような気がします。
逆に、その「問題」を放置したり、自分の解釈を変えないでいたりすると、同じような不協和音がなり続け、大きな事故(お客様のクレーム・自分自身の病気など)につながることがあります。『ファインディング・ジョー(英雄の法則)』という映画の中では、「Calling」という表現がされていました。この「Calling」のサインにしっかり耳を傾ける必要があるという表現が印象的でした。
しかし、現実世界では、「でもそれは、」「やはり怖いから」「自信がないから」という言い訳が先行してしまいます。自分もそうですから。そして、「Calling」を放置すると大きな事件になることが分かっていながら、正面切って着手できません。
その後回しをやめること、あえて不協和に乗り込むことも、一つの発達促進に大切なスキルかもしれません。自戒の念を込めて。
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