コラム

Vol.168 VUCAの時代の経営者・マネジャーの育成と選抜

2024/10/16

VUCAの時代の経営者・マネジャーの育成と選抜

まずは、人が能力発揮や能力開発できる階層について、「コンピテンシー」「アイデンティティ」「認知構造」の3層で解説します。

「コンピテンシー」とは、普遍的な能力を指し、知識やスキルなど、型の習得ができるものです。明確な領域を設定し、実践と振り返りを繰り返すことで能力を開発できます。
例:折衝力や1on1スキルなど

「アイデンティティ」とは、自己認識している個性や価値観を指します。役割の変化や修羅場を経験することで起こる批判的内省によって、緩やかに変化させることができます。
例:マネジャーとしての役割認識、海外赴任時の立ち居振る舞いなど

「認知構造」とは、現実世界を捉える視点や、複合的に現実世界を捉える視点を指します。これは、非常に長い年月をかけて、個人のスピードで変化していくものです。(自分自身の認知構造を内省することはできません)
例:世の中の複雑性を多視点で捉え、単純化せずにそのまま理解できるなど

VUCAの時代では「認知構造」として、以下のような発達段階が必要だと規夫さんは主張していました。

  • 経営者は、「システム思考」ができる発達段階4.5程度が必須条件
  • マネジャーは、「ロジカルシンキング」ができる発達段階4.0程度が必須条件

僕の感覚では、この「認知構造」に達していない人が上に立つと、組織全体が忙しさに追われ、その構造から抜け出せない状況に陥るように感じます。

「システム思考」とは物事のつながりを把握し、全体像を俯瞰することで、複雑なシステムにおける本質的な問題を特定し、解決策を導く思考のことです。「ロジカルシンキング」が発揮されるのは、発達段階4.0に達し、包括的かつ網羅的な思考ができるようになってからです。周囲からは「何を言っても正論で返される手ごわい人」と見られます。

成人発達理論はこの「認知構造」に焦点を当てていますが、発達は個人ごとに異なり、5~10年という長い年月が必要です。

ここから、僕の中では想定外の問答が進んだ内容です。

僕は「日本人の発達段階は欧米に比べて低いのではないか」と感じており、規夫さんに次のような問いを投げました。「日本人の発達段階は低そうに見えるのですが、発達段階が低いのか?環境要因で抑圧されているのか?どちらですか」

規夫さんは「後者だと思う」と答えました(日本国内で大規模な発達測定は行われていないため、推察に基づくものです)。さらに、「日本人のIQは世界でNo1」(皆さんも検索してみてください。本当です)「IQと発達段階の直接的な関連はないにしても、日本人の発達段階は低くはないはず」とのことでした。

これを受けて僕の視点も大きく変わり、「認知思考≒発達段階」を上げるのではなく、潜在的に高い人を発掘する方が、、企業にとっては効率的で時間も節約できるのではないかと考えるようになりました。

「4.0以上の発達段階にある人」と「4.0以上の能力を発揮する機会がある人」の2軸で整理すると次のようになります。

(1)発達段階4.0以上であり、かつ機会がある人(活躍している人)
(2)発達段階4.0未満だが、機会がある人(頑張っている人)
(3)発達段階4.0以上だが、機会がない人(恵まれていない人)
(4)どちらも満たしていない人

このうち(3)の「発達段階4.0以上だが機会がない人」が育成や発掘対象であると認識しました。(3)のソリューションとしては、グループリフレクションが一番だと思っています。詳細は長くなりますので、グループリフレクションに興味がある方は、下記コラムをご覧ください。
https://www.growthen.co.jp/column/20231225/

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