コラム

会議の生産性向上からはじめる”忙しさからの解放”

2023/02/16

マネジメント研修を受講したマネジャーの皆さんからの感想によると、「やるべきことは分かっているが、忙しくて着手できない」という声が多く聞かれます。戦略的な課題解決や将来の人材育成について、「わかっているけど、忙しくてできない」という本音が多く、また多くのマネジャーが体力的にも限界ギリギリであるため、「もうこれ以上は無理だ」という身体的な抵抗もあるように感じられます。

そこで、マネジメント知識やスキルの習得に加えて、マネジメントに取り組むための時間を確保することが最優先課題であると認識し、弊社ではマネジャー向けの「忙しさからの解放研修」をシリーズ化しています。その中で、今回は「会議の生産性向上」について解説していきます。

会議の生産性向上のカギは、時間短縮と質の向上

マネージャーの皆さんが無駄だと感じている時間の中で、会議の時間が圧倒的に多いことが報告されています。まずは、ベイン・アンド・カンパニーの調査結果を共有します。

ベイン・アンド・カンパニーの調査によると、典型的なマネジャーの1週間(週40時間)を例にすると、会議が21時間、メール対応が8時間、個人作業が11時間という割合で時間を使っているそうです。その中で、会議の回数・会議の参加者数・メールの数を減らせば、週16時間以上(労働時間の40%以上)の時間を取り戻せるという調査結果になりました。

出典) 『TIME・TALENT・ENERGY』 マイケル・マンキンス、エリック・ガードン著

会議は多くの人を巻き込み、多くの時間を費やすため、会議の生産性を高めるための研修を提供することにしました。会議の生産性を向上させるには、会議時間を減らす方法と会議の質を高める方法の2つがあります。そのため、「会議時間を削減する研修」と「会議の質を高める研修」の2つを開発しました。

この「会議時間を削減する研修」と「会議の質を高める研修」の2つの研修に盛り込んだ内容を解説します。

会議時間を削減するには?

会議が減らない理由

会議が減らない本当の原因は、誰も特定ができないと思っています。なぜなら、会議をやりたい人たちは、隠れた目的を持っているからです。彼らは、会議を通じて自分の存在価値を示したい、勤務時間を埋めたいなどの欲求があるため、会議がなくなると困るという本音を隠し、情報共有が必要だとか、議論を尽くしたいといった正当性のある理由を挙げます。このような人たちが会議の削減に抵抗するため、会議は減らないままでいるのです。

会議の効果を論理的に検証する

会議をやりたい人たちは、巧みに会議の重要性を説明します。したがって、会議の効果を論理的に検証するために、数字を使う必要があります。この研修では、会議を時間の投資と捉え、費用対効果で検証する提案をしています。会議の効果を定義し、それを検証することで、最適な会議の時間と参加者人数を導き出せるようにしました。

まずは仮説を立てて会議を減らしてみる

会議の削減について、議論をしつくして改廃するよりも、まずはこの会議は人数を減らしてもよいのではないかという「仮説」をもって、実際に人数を減らして効果や問題の度合いを「検証」することが重要です。もし問題が生じた場合には、再度会議の参加者を増やすこともできます。研修内容には、こうした仮説検証の概念を盛り込みました。会議がなくなったら誰かが困るという妄想があるため、意思決定があいまいになりがちですが、まずは減らしてみてから議論することを推奨しています。

研修では、下記の流れで会議の削減を検討します。

【無料ダウンロード】会議の見直し・改廃のためのフォーマット

会議の改廃を検討する際に活用できるフォーマット(Excelシート)を作成しました。ご希望の方はダウンロードして、会議の見直しの際に、ご活用ください。

このシートを使って、60名規模の会社が年間3,000時間の会議時間を削減しました。1日の研修を行い、前半は本音で意見が言える風土作りを醸成し、後半では無駄な時間の削減を議題とし、会議時間を減らすことを検討した結果、削減を図ることができました。

会議時間の質を高めるには?

会議の目的を明確にする

会議が空中戦になる原因は、会議の目的が十分に共有されていないためです。会議の目的は、「情報共有」「アイデア出し」「意思決定」の3つに分類されます。今から開催しようとしている会議が、情報共有なのか、アイデア出しなのか、意思決定なのか、またはそれらの複合なのかを明確にすることで、会議の脱線を防げます。

役割分担を明確にする

会議においては、役割分担を推奨しています。特に、意思決定責任者と書記の役割を明確にすることが重要です。意思決定責任者は、最終的な意思決定を担当します。また、この会議では、意思決定を保留することを決定するのも意思決定責任者の役割です。書記は、ホワイトボードやパソコンを使って参加者の意見を要領よくまとめる役割を担います。議論が見える化されることで、議論の後戻りが少なくなります。まとめた内容をそのまま議事録にすると効率的です。

会議の進め方を振り返る

会議時間を60分で区切っている企業は多いと思います。会議の質を高め続けるためには、会議終了時に会議の進め方を振り返る時間を設けることが大切です。例えば、会議時間を50分に統一し、5分は振り返りの時間、5分は次の会議の資料の読み込みや休憩、移動の時間に充てるとよいでしょう。

最後に

弊社ではマネジャー向けの「忙しさからの解放研修」を提供しています。この研修シリーズでは、
・マネジャー自身が、「自分で自分を忙しくている」ことに気づく研修
・方針でやめることも決める研修
・火消し型から課題解決型に視点を変える研修
・部下と上司が相互に変容する面談の研修
などを取りそろえております。

まずは会議を減らし、マネジャーの皆さんが余裕を持ってマネジメント・コミュニケーションを行えるようになることが望ましいと考えています。このコラムに興味をお持ちの方、またマネージャー層の忙しさに課題を感じている方は、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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