コラム
Vol.70 評価をすると能力が下がる!?
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2016/07/05
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- 評価をすると能力が下がる!?
- 人事・教育担当者に読んで欲しい書籍
評価をすると能力が下がる!?
お陰さまで6月末に決算を迎えることができました。皆さんに温かく支えられて、新しい期を迎えることができます。お客様が・つながりが増えてきたので経営の安定感が出てきました。
さて、本日は、人事制度のコンサルティングを生業にしている我が社の評価制度を紹介します。弊社の評価制度は、考え抜いた挙句、創業以来「評価をしないこと」にしています。
成果主義が大流行りのころに、人事制度のコンサルタントになりました。前職が「大家族主義」や「人間尊重」をうたっている出光興産ということもあり、あまり評価を気にせずに10年間過ごしました。出光興産では、「給与は生活給」「成果は仕事の機会で返す」という考え方もあり、一度も評価のフィードバックを受けたことはありませんでした。
人事制度のコンサルティングに興味を持ったのは、出光興産の曖昧な経営に疑問を感じたというのも一因です。しかし、成果主義のコンサルタントとして数年が経過すると、評価制度の運用は本当に難しいなと考えるようになりました。更に経験を積むと、評価制度は不要ではないかと疑問を感じるようになりました。
私の現在の結論は、「評価はしないほうが良い」です。これだけ、個性の尊重・ダイバーシティ(多様性)と言っておきながら、ある一定の基準で評価すること、ある固有の価値観を持った上司が人を評価することは難しい時代に突入したと思います。しかし、会社としては「適材適所」は必要だと思います。営業に向く人・経理に向く人・マネジャーに向く人・創造的な開発に向く人、それぞれの適正配置は必要です。従って、異動や選抜などは全く否定しません。
評価を止めた方が良い理由を2つ書きます。ここでいう評価とは、報酬を決める査定のことであり、PDCAサイクルや人材育成のフィードバックとは異なります。
1つ目は、時間の無駄ではないかと思っています。
例えば、A評価を20%、B評価を60%、C評価を20%つけたとすると、
A評価の人が、現在より120%モチベーションを上げて仕事にまい進する
B評価の人が、現在と同じモチベーションを維持して仕事を頑張る
C評価の人が、現在より80%にモチベーションを下げて仕事のやる気を失う
社員全体のモチベーションは、評価前後で変わらずに、評価制度を運用した時間だけロスすると思います。評価をする⇒やる気になる⇒組織全体のモチベーションは上がるというのは、人間を合理的な動物だと決めつけた単なる妄想に近いと思っています。
2つ目は、評価をすることにより、人の能力を抑制するのではないかと思っています。人は、二元性の中で生きています。評価は「良い」「悪い」を決めることです。
「良い」と言われた能力は発揮する
「悪い」と言われた能力の発揮は抑える
とすると、評価をすることにより「悪い」レッテルが増えます。どんどん使える能力がなくなるのではないでしょうか?
最近思っているのは、パフォーマンスが悪い人は、自分でもその悪さを気づいているということです。その人に、「あなたのこの部分は悪いですよ」とフィードバックすると、使える能力が限られ、さらにパフォーマンスを悪化させる可能性があります。どんどん悪循環にはまりますよね。逆に、「良い」というフィードバックを受けると、どんどん能力を開発できるのではないでしょうか。
従って、評価をすると能力が下がる傾向にあるのではないかと思っています。
弊社は、個人の評価はしておりません。全社業績(会社の評価)によって賞与の支給月数が変わる仕組みになっています。6月の賞与支給も終わりました。予定額を支給できました。支給が終わると、社員の皆さんからお礼のメールを貰って、経営者としてもモチベーションアップしました。
人事・教育担当者に読んで欲しい書籍
書籍名:『マネジメント革命』
著者名: 元ソニー上席常務 天外 伺朗氏
実際にマネジャーであり、そこそこうまく行っている方に読んでいただきたい本です。元ソニー上席常務である天外氏が、ソニーが成長して、衰退し始めたときに初めて創業当時のソニーの強さを理解され書かれた書籍です。後半の概要はつかみにくいと思いますが、真実を語っていると思い、紹介します。この本を読んで、理解・共鳴された方はご一報ください。一緒に意見交換しましょう。
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