コラム
Vol.93 心の成長をデザインする
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2018/11/28
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- 心の成長をデザインする
心の成長をデザインする
今年の3月から加藤洋平氏にアドバイスをいただきながら、成人発達理論を学んでおります。現在は、「Nine Levels Of Increasing Embrace In Ego Development」という英語の論文を読んで勉強しています。英語ができない私にとってかなりの抵抗感がありましたが、読み進めていくと意外と楽しいです!今回は、エゴとは何か?エゴと心の成長の関連性について話をしたのち、計画的に心の成長をデザインすることは可能なのかについて話をしたいと思います。
まず、上記の論文でエゴをどう説明しているかというと、
エゴは、自分に内在した「安定性」「同一性」「一貫性」を守りたい欲求であり、人間はそれらを維持するために、自分に不都合な事実を自分に都合が良いように解釈する動物だと定義しています。その解釈は、その人独自のものであり、習慣として身についています。その解釈は、本人にとっては一貫性があるものですが、周囲からはチンプンカンプンなロジックであることが多いです。
つまり、自分の身を守るもの・心を守るために形成された認知モデルがエゴです。「自分」を守ることが目的なので、「周囲」にとってはマイナスなこともあるかもしれません。それが、組織活動(プライベートも同様)において、様々な問題を発生させると考えています。例えば、
- 自分のリスクを最小限にしたいので、言われたことだけする
- 自分の知識・スキルの優位性を守りたいので、人の話をきかない
- 自分の立場を守りたいので、マウントを取る
- 自分の地位を守りたいので、意思決定はできる限り避ける
などなどが生じます。
成人発達理論は、この経験→認知→表出行動のレベルを体系的にまとめたものです。つまり、適切に心の成長をしていくと上記のような阻害行動をとる可能性が少なくなります。企業内で心の成長をしっかり支援できれば、
- 若手に主体性・自主性を持たせられる
- 45歳以上でパフォーマンスが下がるのを食い止められる
- パワハラ的なコミュニケーションをする上司が多様性を理解できる
- 意思決定を先延ばしにする役員を減らすことができる
などの可能性を秘めています。
僕は英語が苦手で、英語の論文を読みたいなと思っていても、手間がかかる・どうせ理解できないなどの勝手な思い込みがあり、それらを後回しにしてきました。しかし、実際に経験してみると、30年以上前に英語を読んだときと感触が異なっています(グーグル先生の活躍などもありますが)。そうした経験や解釈の変化が心の成長に必要ということです。少々悲しいことは、ある程度の強制力がないと行動しないということです。僕も、加藤氏の強制がなかったら一生英語の論文を読まなかったと思います。
つまり、心の成長には、ある程度強要された機会+周囲のサポートが必要です。多くの場合、エゴが「恐れ」「面倒」「不快」などの感情を生み出すので、それらに抵抗できる強制力が必要になります。
この1年間、心の成長ということを念頭に置いて研修を組み立ててきました。研修という場では、ある程度の「機会提供」と「講師からのサポート」ができるので。
先日ふと考えたことは、人事制度の等級基準や行動基準も心の成長と連動しているということです。そうであれば、階層別研修に「心の成長をデザインすること」が可能ではないかと、想像が膨らみました。それで、今までやったきた研修を軸に「心の成長をデザインする階層別研修」のまとめに入っています。
成人発達理論に基づいて、適切な時期に心の成長を促進できれば、新入社員から役員までの知性のレベルを向上させることが可能になります。
これらを下記の通りにまとめてみました。
ただ、理論的には「適切な機会」と「適切な支援」が必要ではあるが、その行為によって必ずしも心の成長が促進されるかの約束はできないそうです。(もちろんその可能性は格段に増すでしょうが)
【適切な時期と心の成長に必要な要素】
□新入社員時代(入社6ヵ月程度)
・他者という存在の理解(仕事の出来具合は他者が評価すること)
・他者からのフィードバック(賞賛・改善など厳しめのフィードバック)
・信賞必罰の仕組み(なぜルールがあるかの理解)
□若手社員(入社1年~3年程度)
・内省の習慣化(経験学習モデルの定着)
・自分の体験の内省(自分の成長を振り返る)
・将来思考の種まき(将来のキャリアを考える)
□中堅社員(入社5~8年程度)
・自分の独自性に気づく(自分の唯一無二の独自性に気づく)
・積極的な問題解決(問題に接近する主体性を身につける)
・メンタルモデルの存在に気づく(内省ができる習慣作り)
□マネジャー手前(30歳~35歳程度)
・事実と解釈の違いに気づく(自分が引き起こしている習慣に気づく)
・自己洞察の習慣化(自分の感情・ニーズなどに向き合う)
・メンタルモデルの受容(深い内省ができる習慣づくり)
□役員手前(40歳~45歳程度)
・自分と他者との統合(メタ認知ができる)
・感情・思考・身体感覚の影響の理解(身体知の感度を上げる)
などを計画的に実施することができれば、心の成長をデザインできるところまで整理できました。
心の発達には、忙しさから脱却して、少しじっくり自分を見つめることが必要なので、1泊2日研修は必要です。それに2週間の習慣づくり+2週間後のWEBミーティングフォローで研修を組み立てようと考えています。
先日、3~5年目を対象に研修をやったときの感想は、
「最近、自分の中にあるモヤモヤした気持ちをどう言葉にすれば、またどう対処すれば良いかが分からずに自己嫌悪に陥っていました。先生のお話やメンバーと話をして、心が軽くなりました」
「多様性の理解や、捉え方の枠を広げるようにしたいと感じました。自分がつらいのは、自分でシャットダウンしていることに気づきました」
ということがあり、自分が辛い思いをしているのが、自分が作り出している解釈だと気づけました。そのような人が増えれば、メンタルの問題を回避できるだけでなく、パフォーマンス向上にも寄与できると思います。
まずは、会社の成長・社員の成長のために、「心の発達面」も忘れてはいけないことを多くの皆さんに理解してもらい、その必要性を理解された企業から、教育研修からスタートすることだと構想しています。それほど多くの企業で一気に導入できませんが、興味ある会社さんから一緒に着手していきましょう。
興味のある方は、お問い合わせください。
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