コラム
外出抑制の時期の過ごし方
コラム記事
2020/04/20
「余白」「スペース」が発達のエネルギーになる
加藤洋平氏から成人発達理論を学んでいたころ、余白は発達のエネルギーになると言われました。その後も「余白」「スペース」などが変容のキーワードとしてよく登場します。
外出抑制の現在、この「余白」「スペース」が生まれやすいので、発達促進の観点からこの時期に過ごし方についてお話をします。
なぜ、「余白」「スペース」が発達のエネルギーになるのでしょうか?
日常生活では、多くの人が「忙しい」と感じていると思います。「忙しい」と言う漢字は、分解すると「心」を「亡」くすと読み取れます。日常生活は、仕事で忙しい、家事で忙しい、ついつい趣味などのスケジュールを入れて忙しい、そしてキャリア形成のための自己啓発もしないと、、、など時間が足りないといつも感じていることでしょう。睡眠時間を削るぐらいしか、解決方法はないと感じる人も多いでしょう。
日常生活では「忙しさ」から反応的な毎日を過ごすようになり、深く自分を見つめる時間も取れないですし、周囲の人たちにも反応的にコミュニケーションしてしまうことが多くなります。趣味に没頭しているつもりでも、自己啓発をしているつもりでも、何か虚しく毎日が過ぎていく感覚もあるかもしれません。
忙しい毎日を過ごしていると、自分が立っている価値観や固定観念の変化はなかなか起きません。
それが、育児と言う機会で仕事を離れたり、病気になって長期休暇を取ったりしたときに、環境も変わりますし、自分が立っている価値観や固定観念が崩れるので、内省が起きやすくなります。そのときに、価値観の変化や認識の変化が起こり、これが発達段階を上げることにつながります。
現在、価値観の変化や認識の変化の機会が、全世界に平等に強制的に起こっていると捉えることができます。環境が厳しいので、そのような捉え方は難しいかもしれませんが、物事はポジティブな側面とネガティブな側面の両方があり、ポジティブな側面で捉えると、心の成長には良い時間だと思います。
大切なのは「空いたスペースを埋めようとしないこと」
最後に、外出抑制の時間をどのように過ごせばよいかについてアドバイスします。
大切なことは、折角空いた「スペースを埋めようとしないこと」です。
スペースを埋めるというのは、「時間が空いたので、これを機会に〇〇を勉強しよう」とか「ビデオやゲームで時間を埋めよう」というような考え方です。焦りや寂しさから、時間を埋めようとしないで、そのまま暇を受け入れる感覚です。
スペースを埋めようとしないとは、「一緒に過ごしている家族と向き合い、普段できない話をしてみる」とか「空いた時間に散歩してみる」とか「部屋を片付けてみる」などです。空いたスペースを計画的に埋めずに、時間が流れるままに身を任せる感覚です。
空いたスペースに、新しい発達の風が吹き込むので、その空間はそのまま残してあげる感じが良いでしょう。そのスペースに新たな発達課題や、大きな可能性が舞い込んでくる感覚をもって、フィーリングや感性を大切にたたずむ感じが良いと思います。
「余白」「スペース」があると、ふとした瞬間に自然の美しさに感動したり、相手の優しさに触れたり、そんな普段感じられない小さな感動に触れて至福の感覚を取り戻す時間かもしれませんね。
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