コラム
多面評価・360度評価について
コラム記事
2020/04/14
360度評価の結果を報酬に結びつけるべきではない?
まず、多面評価・360度評価(以下360度評価に統一)に関して個人的な見解からお伝えすると、私は360度評価の結果は報酬に結び付けるべきではないと考えています。
理由は、
- 成熟していない部下(例えば一人前になっていない社員)に対して、評価はより主観的になる傾向があること
- 上司が評価結果を気にするあまり、部下に迎合する可能性があること
- 悪い評価をつけた部下に上司が報復的な嫌がらせをすること
などが挙げられます。
忖度の文化や、上下関係がしっかりしている組織では、360度評価が有効に機能するとは思えません。また、360度評価には結構な工数がかかります。そこに、経営層がコミットメントして、時間をかけてでも浸透させるという意気込みがないと、手間だけが煩雑になる可能性もあります。
人材育成ツールとしての360度評価
一方で、360度評価は、本人の気づきのための施策としては良いと思っています。実際に自分も360度評価のフィードバックを受けたときは凹み、それでも頑張って一人ひとりと面談して、自分の行動を省みることができたことがあります。
360度評価の活用方法としては、給与や賞与を決めるという使い方ではなく、昇格の材料や研修時の気づきを深めるための人材育成のツールとして活用することをお勧めしています。
360度評価は、評価された側が、自分にとって不都合な診断結果や意見を受け入れる必要があります。自分が否定されるわけですから、心理的に非常に抵抗があります。多くの方の受け止め方を見ていると、行動変容に結び付けづらい問題はあります。本来であれば、360度評価を実施することよりも、管理職研修などの場を使って、半日ぐらいじっくり内省することに時間を割くべきだと考えています。
360度評価を報酬制度に連動させるには
もちろん、360度評価を報酬制度に連動させている企業もあります。その会社は、理念浸透という旗を掲げ、様々な問題を克服して継続運用しています。360度評価を使うことで、組織風土や文化も変わってきており、その効果は外部から見ても効果があると思います。どのような制度でも、運営に向けて尽力し、試行錯誤しながら、工夫・改善しながら導入を図っていくことが大切です。
360度評価を報酬に連動させる場合は、等級別に求める行動を360度で評価して、それに基づいて昇降給を決めたり、昇降格を決めている会社が多いと思います。 ただし、360度評価だけで昇降給を決めている会社は少なく、業績評価を加味して決定したり、行動給と業績給または役割給などで基本給を構成させているケースが多いです。昇降格については、管理職登用や管理職一歩手前(係長登用など)に360度評価を用いるのは良いと思います。上司からの評価と部下からの評価が異なる対象者がいた場合は、昇格を慎重に実施した方が良い場合があるからです。
人材育成に重点をおいた多面評価・360度評価シート
ある企業で、育成という視点に重点を置き、評価結果について報酬を決定する査定の一部として考慮するという設計をしました。その評価シートをダウンロードできますので、是非参考にしてください。管理職で1枚、一般社員で1枚のシートに仕上げた簡易版なので活用しやすいと思います。
具体的な評価シートのイメージや、評価シートを作成した要素などはダウンロードページに解説してありますので、下記をクリックしてご覧ください。
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