コラム
働き方改革の一環で、評価にかけるムダを根絶。評価制度で本当に必要な機能とは?
コラム記事
2019/06/26
『査定確定に時間を掛けても意味がない!評価を人材育成の手段にする方法』という評価制度のセミナーを実施しました。当日は、 働き方改革の視点もいれた内容をお話しましたので、ご紹介します。
1.最近、政府の政策について感じていること
現在、政府の施策として、「同一賃金同一労働」「最低賃金のUP」「定年延長」など人件費が肥大する施策が目白押しです。政府側の立場に立つと、税金や社会保険料収入を上げないと国が破綻する可能性があるので、人件費を無理にでも上げるしか選択肢はないと考えているのでしょう。
人件費を強制的に上げることにより、企業に無理にでも生産性向上・イノベーションを起こさせようとしていると推察されます。従って、これまでのやり方でできると思い込んでいる企業は自然淘汰・合併を余儀なくされるでしょう。真面目に生産性向上に取り組む時期が来ました。色々ムダとりをしたいのですが、次項で、評価制度のムダについて解説します。
2.評価制度運用の時間短縮に向けて
生産性向上の側面で、まずはムダな時間の削減から着手し、イノベーションに取り組んだ方が良いでしょう。「長時間の会議」「内向きの資料作成」「過去の慣習で継続している仕事」、そして「評価確定にかける時間」も無駄だという認識を持つことからスタートです。
セミナーでは、成人発達理論を説明してから、下記のようなお話をしました。
目標管理における目標設定は、ありたい姿に向けて、PDCAサイクルを回すためにPlanを設定することですが、ありたい姿をイメージできない人が一定割合いることに昔から気づいていました。評価者研修などで、ありたい姿を設定してもらう際に、全く手が動ない人が一定割合いらしたからです。
成人発達理論を学んで、発達段階4.0にならないと過去・現在・未来の概念が俯瞰して理解できないことが分かりました。そういった面で、一般社員の多くの層が発達段階4.0未満なので、目標設定がありたい姿ではなく、現在の延長でしていることに気づきました。
3.評価制度に関して私からの提言
- 評価に時間をかけるのはムダ。調整評価が存在する以上、最初から評価が決まっている。
- 評価の納得性・公平性などの妄想に、時間という経営資源を配分してしまっているのでは。
- 評価に時間をかけるのはムダ。評価者に認識の限界(認識の枠)がある以上、評価は評価者に左右される。思考の流れという側面でも扁桃体(感情の領域)を通るので、好き嫌いフィルターがかかってしまう。
- 目標管理は、実は企業には定着できない。ありたい姿を描けるのは発達段階4.0からであり、一般社員クラスには、認識できない概念である。
- 評価への納得度も必要ないかもしれない。
- ハイパフォーマーは、評価のことが気にならずに働いている(発達段階3.5以上)
- ローパフォーマーは、自分が現状の仕事に適合していないことは既に知っている。評価を下げることで、回避・向上させることは無理に近しい。
- ミドルパフォーマーは、他者からの評価が欲しい(わざわざ悪い評価をフィードバックすべきではない)
- 多様性と言っておきながら、ある一定の基準で人を評価することそのものが間違っている。
- 人の弱みは克服できない。その人が強みを発揮できる・成長できる場所に人を置くこと。
- そう考えたときに、人の評価はできない・いらないという世界観に達すると思う。そこから何をすることに意味があるのかを説いていきたい。
4.これからの評価制度
上記の世界観を理解したときに、評価制度は「本当に必要な機能のみ」に絞り込めると考えています。セミナー中に参加者とシェアした【本当に必要な機能】【もしかしたら不要な機能】は下記の通りです。
【本当に必要な機能】
・報酬を決める機能
・モチベーションアップ機能
・方向性の共通認識機能
・強みを本人に伝える機能
・周囲の評価を本人に伝える機能
【もしかしたら不要な機能】
・ガチガチの評価制度
・目標
・評価シート
・うわべだけの面談
など、面白い意見がでました。ここから本当に必要な評価制度は何?という設計をコンサルティングしてみたいし、多分、それができるのは弊社しかないだろうと考えています。
当たり前ですが、経営論や組織論をひたすらやってきたので、それと成人発達理論を重ねた何かコンサルティングができると、相当なムダな時間を省けそうな気がします。
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